研究課題
平成30年度は以下の内容を実施した。1.小地域産業連関表を用いた小地域熱電供給の運用方策の検討:鳥取県日南町を対象に、木質チップを利用した小型熱電併給事業を検討した。まず、対象地域の産業連関表を作成し、日南町の経済構造を把握した。次に、実現性の高い熱電併給事業の実施形態に対して事業実施による経済効果、増加する所得を試算した。最後に、増加が見込まれる所得のインパクトを評価する目的で、上下水道と清掃に関する公共サービスの民間委託額を求めた。人口減少に伴い公共サービスの事業規模は縮小が見込まれ、民間委託額も減少していると考えられる。これらの委託を業務とする事業者にとっては市場の縮小を意味し、事業継続を考慮するとその他の業務への展開など業態の変化が必要となると考えられる。ここでは、現実に縮小する公共サービス委託費からの所得を推計し、小型熱電併給事業の実施により推計された地域の増加する所得と比較した。2.水資源利用に関する数理計画論的アプローチ:昨年度、課題に取り組む中で新たに芽生えた関連サブテーマとして、「資源のカスケード利用を質的側面からとらえ、数理計画問題としてモデル化すること」があった。これを検討する中で、再生水利用を考慮した下水処理施設の最適配置モデルや再生水導入施策の経済効果の計測を行った。本課題の副産物ともいえるが、これをコミュニjavascript:onInputApplication()ティ資源の活用策につなげていければと考える。3.小さな拠点性に係る検討:「小さな拠点」の概念では「コンパクト+ネットワーク」が一つの鍵となる。そこで、国土交通省「国土のグランドデザイン2050」にあるサービス施設の立地確率と自治体の人口規模について、後者を平成の合併前の単位で見た場合にどのような差異があるかを分析した。
3: やや遅れている
平成30年度の実施内容のうち、1.2.については成果という形にたどりつき、1.については調書作成時の計画通りの進捗状況であると言えるものの、3.については、当初の計画とは異なるアプローチとして開始することになった分析であることなどから、未だ結果を出すに至っていない段階であるため、上記のように判断した。
平成31年度は以下の研究を予定している。1.将来の社会情勢変化を考慮に入れた評価枠組みの拡張昨年度までのモデルをベースに、将来評価を行える枠組みに拡張する。人口減少、エネルギー技術の変化など、研究テーマに関連する将来の社会情勢変化を考慮に入れてシナリオ分析を行う。労働力が相対的に希少になる想定では、応用一般均衡分析の適用も検討する。2.巡回サービス主体による集約的サービス供給方策の検討:まずは、進捗の遅れている前年度のテーマを仕上げたい。その上で、分析対象地域をいくつかに絞った上で、本研究で念頭におくサービス主体を特定し、本業に付随して福祉サービス等を集約的に担う際にどのくらいのキャパシティがあるのか、どのくらいのエリアをカバーできるのかを明らかにする。
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土木学会論文集G(環境)
巻: 74 ページ: II_237-II_244
2018 Group Decision and Negotiation
巻: 1 ページ: 91-98
2018 IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics
巻: 1 ページ: 462-467
巻: 1 ページ: 457-461