研究課題/領域番号 |
17K06604
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
吉田 長裕 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20326250)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生体反応 / ストレス評価 / 自転車運転タスク / 自転車利用環境評価 |
研究実績の概要 |
交付申請書に記載したH30年度における研究計画の2つの項目について、各成果を記す。 4.自転車利用者の運転行動・反応との関連分析 1年目に実施した実走行実験で得られた自転車歩行者道、自転車道での生体反応データを用いて、ストレスの変動要因を明らかにした。被験者条件としては運転経験、自転車挙動に関しては、通行空間における交通及び道路条件別(車両流出入/歩道駐車/横断待ち自転車歩行者/対向自転車/カーブ)の生体反応値の平均値を比較した。その結果、カーブ区間や通行空間内の横断自動車、自転車や歩行者の存在に反応していることを定量的に示すことができた。 5.ストレス指標を用いた通行空間のLOS 評価 ストレス指標の変動特性と主観的なアンケート調査結果との対応関係を分析した結果、主観的にはストレスとは指摘していない道路環境についても生体反応のあるケースが見られた。これらを踏まえて、生体反応に基づいた通行環境の評価を行ったところ、運転タスクが複雑になる通行環境において生体反応が大きくなり、自転車LOS評価して使用可能であることがわかった。とくに運転タスクと生体反応との関係が明確にできたことは大きな成果としている。ただし、生体反応の特性を考慮した詳細分析と他の自転車LOS評価との比較についてはできておらず、次年度において実施する予定である。 以上の分析結果より、運転タスクの程度と生体反応との関係を分析及び評価の過程においてある程度明確に示すことができた。具体的には、通行空間の構成要素、運転タスク、ストレス(生体反応)の関係を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に実施した実験データの分析については、2年目において当初の期待以上に明確な成果がでており、国内外の学会に論文投稿を行い、3年目の期間中に発表することが確定しており順調に進展している。 一方、1,2年目で残された点については、3年目に実施予定のビデオ実験及びLOS評価にあわせて実施可能であり、2年目に得られた研究成果に基づいて効率よく分析及び評価を行えるノウハウが確立できたこと、実験前の入念な準備が完了できていることから、研究の進行の上では大きな問題ではない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である3年目においては、1,2年目で残された点と研究計画で示した2つの項目について取り組む予定である。3年目に予定している項目は以下の通りである。 6.ビデオ実験によるLOS 評価 3.の実通行環境において得られたビデオ映像を用いて、実通行環境を知らない被験者を加えて生体反応をモニターしながら評価実験を行う。ビデオ映像については、区間を代表した複数枚の画像セットとビデオ映像を見た後に被験者にストレスの感じる程度を評価してもらう。また、実通行環境を通行したことのない被験者の評価との違いについてもみることで、それぞれの手法の特徴を明確化する。例えば、同じ被験者から得られたビデオ画像から得られたLOS 評価と実走行時の生体指標によるLOS 評価を区間毎に比較することで、どのような条件下でどのような評価方法が優れているのか明らかにすることができる。 7.研究成果のとりまとめとストレス指標を用いたLOS 評価 生体反応指標によるストレス計測に基づいて、本研究ではとくに空間状態の違いによるLOS に焦点を絞って結果を整理する。アウトプットとしては、多様な走行空間あるいは状態を主観的危険順に並べ、客観的安全度や通行位置の選択結果との関係を図化することで、ある条件下でどのような対策が利用者の主観的危険感を緩和できるのか定量的に示すことができる。また、詳細なLOS 評価が必要なポイントがどこにあるのかを示すことによって、簡易な手法との組み合わせにより、より実用的な自転車LOS の評価方法を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議のための旅費を次年度に確保するため。
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