研究課題/領域番号 |
17K06608
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
谷口 行信 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (70759422)
|
研究分担者 |
島田 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50734414)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 人流推定 / 人物同定 / 映像アラインメント / ドライブレコーダ |
研究実績の概要 |
路線バスの効率的な運行を実現するために運行計画を定期的に見直して最適化する必要があり,その基礎データとして,バスの利用実態の定量的調査は必要不可欠である.現在は調査員がバスに乗り込み乗降客数をカウントする,人手に頼った調査手法が主流であるが,コストが高いため,調査頻度が少なくなり,高度な分析が困難という問題がある.本研究では,多くのバスに既に設置されているドライブレコーダに着目し,そのカメラ映像を解析することで「人流情報」(どのバス停で乗車した人がどのバス停で降車したか)を自動的に把握する人流推定手法を開発している. 今年度は,(1) ドライブレコーダの映像解析による人流推定手法の精度向上,(2) 動き特徴と物体特徴の統合による動画像の時系列マッチング(映像アライメント)の検討を行った. (1) (a) 乗車口,降車口を写すカメラ映像から人物領域を切り出し,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて抽出した画像特徴に基づいて人物照合を行う手法を拡張し,偏相関係数を用いて類似度評価する手法を開発した.(b)カメラ特性が異なるカメラ(例えば,可視光カメラと近赤外線カメラ)を用いた場合に精度が大幅に低下する問題に対応するため,深層学習を用いた色調補正手法を開発し,前処理に用いることで,人物照合の精度が向上することを確認した.(c) 人流推定の第一ステップとして,乗車してくる人を正確に検出する必要がある.バス車内は狭いため,モノ(手すりなど)と人,人同士の遮蔽が生じやすく人物検出・追跡が困難である問題があった.人物姿勢推定により人物進行方向を推定することで乗客検出精度が向上することを示した. (2) CNNによって学習した特徴量を採用することで,アライメント精度が向上することを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,ドライブレコーダの映像解析による人流推定手法の精度向上に取り組み,人物照合精度は人の認識精度に近いレベルまで向上しており目標精度に近づいている.
|
今後の研究の推進方策 |
バス会社の協力の下,プライバシに配慮しながら,実験に用いるドライブレコーダ映像の準備を進めている.ドライブレコーダの映像解析による人流推定手法の精度向上に向けた改良を継続するとともに,実際のバス映像を用いた評価,ドライブレコーダ映像ブラウザのプロトタイピングを進める予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品,旅費等において差額が生じた.次年度の物品購入等に充当する計画である.
|