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2017 年度 実施状況報告書

習慣行動理論による交通違反行動の予測と制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K06609
研究機関追手門学院大学

研究代表者

東 正訓  追手門学院大学, 心理学部, 教授 (90238270)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード習慣 / 速度超過運転 / 計画的行動理論 / 熟慮下過程 / 自動的過程
研究実績の概要

習慣強度の測定法であるVerplanken & Orbell (2003)によるSRHI(Self-report habit index)を速度超過行動(speeding)の習慣を測定するように様式を変更した速度超過習慣尺度の信頼性と妥当性を検証した。2017年10月17,18日に、神奈川県、静岡県、兵庫県、広島県で幅広い年齢層を対象にインターネット調査を行い、3112名のデータを得た。さらに速度超過習慣尺度の再検査信頼性を検討するために、2か月後の12月18、19日に追加質問および速度超過習慣尺度を再施行した。この追跡調査では515名の有効データを得た。2016年に収集したデータと本調査データを合わせて構成されたデータセットにもとづいて分析をおこなった。その結果、速度超過習慣尺度はクロンバックのα係数も高く、他の尺度との相関関係も理解可能な相関構造を示したことから、内的整合性信頼性と妥当性を有すると考えられた。また、縦断的データに基づいた再検査信頼性も満足できる結果であった。速度超過習慣が、速度遵守行動意図と実質的な負の相関をもつことから、速度超過習慣が速度超過運転を引き起こす可能性があることが示唆された。一方で、速度超過習慣が態度、知覚された行動コントロール、主観的規範といったTPBの主要変数と相関をもったことから、過去の運転経験から身につけた態度や交通ルール観、運転能力の自己評価と周囲の規範的影響を受けて、速度超過習慣が形成された可能性があると考えられた。
今後は、速度超過習慣尺度を構造方程式モデルの主要な要因として利用し、速度超過運転行動意図の規定要因モデルを計画的行動理論と習慣行動理論を接合した立場から構築するとともに、交通安全教育や交通行動研究の現場で使用可能な標準化された尺度として活用できるように、性別、年代別、居住地域差などの分析情報を公表していきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

速度超過習慣尺度の高度な内的整合性信頼性、再検査信頼性および併存的妥当性が確認された。さらに制限速度遵守意図の規定因モデルを構築するためのデータ収集の結果、様々な地域における幅広い年齢層にわたる十分なサンプル数が得られた。また、予定していた多変量媒介モデルの検証もおおむね妥当であった。これらの結果から、速度超過習慣尺度の信頼性をさほど落とさずに短縮版が構成できる可能性や、制限速度超過意図を目的変数とするモデルの必要性も示唆され、今後、モデルを拡張・改良していく見通しが得られた。

今後の研究の推進方策

制限速度遵守意図に関する規定要因モデルにめどがたったため、今年度は制限速度遵守意図に加えて制限速度超過意図を目的変数にしたモデルを作成する方針である。制限速度遵守意図は熟慮下過程に影響を受け、制限速度超過意図は感情や衝動性などによって促進される自動的過程により影響を受けることが2017年度収集の縦断的データの分析から予想されたので、今年度は、その検討を試みる予定である。

次年度使用額が生じた理由

調査を依頼した会社による値引きによって生じた。今年度のインターネット調査の予算に組み込んで使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 速度超過習慣尺度の構成2017

    • 著者名/発表者名
      東 正訓
    • 学会等名
      日本交通心理学会

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公開日: 2018-12-17  

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