研究課題/領域番号 |
17K06618
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
浅田 安廣 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (60610524)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 病原微生物 / 浄水処理 / 再増殖 |
研究実績の概要 |
平成30年度では、平静29年度から継続して活性炭内でのレジオネラ再増殖試験に取り組んできたが、レジオネラ属菌感染に対する安全性を考慮し、試験内容を一部変更し、再度粒状活性炭内でのレジオネラ属菌再増殖に関するミニカラム試験を実施した。変更内容はレジオネラを添加した試料水を循環させるカラム試験から、2週間に一度の頻度でカラム内水を交換する方法に変更した。活性炭内へのバイオフィルム形成においては、3本のカラムを作成し、4ヶ月間馴致させた。その後、培養したレジオネラを添加し、1時間吸着操作を行い、その後1本のカラムはレジオネラ量の測定、2本のカラムは長期試験に供した。 試験開始1ヶ月後より、交換水のレジオネラ量(遺伝子)を測定した。その結果、試験前の交換水からはほとんどレジオネラ遺伝子が検出されなかったが、試験2週間の交換水からは高濃度のレジオネラ遺伝子量が確認された。2ヶ月半で試験を終了し、活性炭内のレジオネラ量を測定した。その結果、吸着操作時の付着濃度より増殖している傾向が確認された。また、ビーズ破砕法でDNA抽出を行なっているが、超音波の有無で検出された遺伝子量が変化した。以上より、バイオフィルムが形成している粒状活性炭内ではレジオネラが再増殖する可能性が考えられ、さらに増殖は活性炭の表面でなく細孔内であることが推察された。 また不活化試験に向けて各処理での試験条件とDAPI(全菌数)、CFDA(細胞内エステラーゼ活性)、PI(膜損傷)の染色条件を確定させた。また、試験方法変更に伴なって得られる再増殖データを踏まえたデータ解析方法について整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進行状況として、粒状活性炭を用いた長期試験について、レジオネラ属菌再増殖の可能性について指摘できた。しかし、試験方法の変更がありVBNC菌体を用いた長期試験は準備段階である。また、オゾン、促進酸化処理、紫外線単独処理の方法については、実験条件・操作手順・レジオネラの染色条件を決定し、データ確保が可能な状況である。 数値解析については、その手順について整理できている状況である。 以上を踏まえて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度では、活性炭内でのレジオネラ属菌変化(VBNC含む)に関する長期試験を実施し、データの蓄積を行う。オゾン、促進酸化処理(UV/H2O2処理)、紫外線単独処理による菌体状態(培養可能,VBNC)を踏まえた上での各処理によるレジオネラ属菌の変化も把握し、数値解析を行う上で必要な情報を蓄積する。 これらの情報を用いて、数値解析により処理プロセス中のレジオネラ属菌の挙動を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度分の必要物品の購入はできており、496円余剰がでた。 その分については次年度の物品費(消耗品)の一部として使用予定である。
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