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2017 年度 実施状況報告書

嫌気性芽胞菌の「機能的」「網羅的」な糞便汚染指標としての活用とリスク評価への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K06620
研究機関県立広島大学

研究代表者

橋本 温  県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (30332068)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード嫌気性芽胞菌 / ウェルシュ菌 / 糞便汚染指標 / 大腸菌 / 腸球菌 / ソーストラッキング
研究実績の概要

嫌気性芽胞菌の「網羅的」な指標としての機能として先行の研究で明らかになっているヒト由来汚染源でのcpe遺伝子保有株の偏在性を利用した河川流域のヒト糞便汚染のソーストラッキング指標としての有効性を実河川で実証するための調査を行った。
今年度はS川水系をフィールドに、主に養豚などの家畜由来の排水の流入を受け、人口密度も低く、かつ流域下水道によってヒト由来の排水の流入の可能性の低い支川Kと人口が集中する都市域を流域とし、古くからヒト由来排水による汚濁河川として問題とされている支川Nについて調査を行った。
それぞれの流域地域の人口、人口密度、流域に排水を放流する特定事業場(家畜)、下水道使用率、水洗化率などの流域状況を調査するとともに、両河川それぞれ2地点において3回の採水を行い、大腸菌、腸球菌および嫌気性芽胞菌数を調査した。また、嫌気性芽胞菌についてはcpe遺伝子保有率も調査した。
3回の結果を総合すると、N川は採水地点1と2の間に養豚場排水の流入があり、1-2間で大腸菌数および嫌気性芽胞菌数の大幅な上昇が認められるものの、嫌気性芽胞菌cpe遺伝子保有株は検出されなかった。また、腸球菌は不安定な濃度変化を示した。N川は、2か所の採水地点ともにすべての指標が高い値を示すとともに、嫌気性芽胞菌cpe保有株の存在割合は30%程度と高い値を示し、ヒト由来の糞便汚染であることを強く示唆した。
次年度は、本データを補完するために、追加のデータを取得するとともに、河川の流量などの情報を合わせて汚濁負荷量の評価を行うとともに、時間経過に伴うそれぞれの指標の変動、ウイルス指標との関連性などについて検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、年間を通して採水を実施し、季節的な変動を含む評価を目指した。実際には、夏季に台風等の影響による増水などにより採水が困難であった時期があり、夏季のデータに不足が生じている。しかしながら、その他のデータについては順調に調査が実施されており、夏季のデータについては、次年度に補完することが可能である。
従って、現在までの進捗状況としては、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

現在までの成果を踏まえて、今後は以下の3点を中心に研究を進めて行く。また、それらを基に、総合的・網羅的な糞便汚染指標としての嫌気性芽胞菌の機能を評価するとともに、本指標の新たな活用法や水域の糞便汚染の評価手法、理薄くアセスメント手法について検討してゆく。
1.嫌気性芽胞菌のソースとラッキング指標としてのデータの補完:十分な採水が実施できなかった夏季を中心に、S川水系でのサンプリングを行い、そのデータを基に、嫌気性芽胞菌のソーストラッキング指標としての有効性を評価する。
2.嫌気性芽胞菌のウイルス指標としての検討:嫌気性芽胞菌の腸管系ウイルスの指標としての意義を検討するために、PMMoVやノロウイルスを同時に計測し、その関係性を探る。大腸菌など一般に用いられている細菌の糞便汚染指標と比較して生残性の高い芽胞菌は、ウイルスとの濃度分布の相関が期待される。
3.時間経過に伴う嫌気性芽胞菌の挙動とウイルスとの比較:S川を対象に、ポイントソース(下水処理場放流水)によるお木偶を受けた河川について、途中からの流入のない下流3km地点までの指標細菌(大腸菌および嫌気性芽胞菌)の挙動を評価する。併せて、PMMoVなどのウイルス指標の挙動を比較して、その減衰の類似性をさぐる。ウイルスについては検査手法として遺伝子の検出定量を主としており、細菌指標で行われる生菌の検出定量とは異なる可能性がある。従って、ウイルスの検出定量については、水中のフリーの遺伝子を検出しない手法(PMA法など)の利用を試みる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 嫌気性芽胞菌のソーストラッキング指標およびウイルス指標としての特性2018

    • 著者名/発表者名
      中本佳奈、岩本和也、土岡宏彰、高田真那、橋本温
    • 学会等名
      日本水環境学会第52回年会

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公開日: 2018-12-17  

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