研究実績の概要 |
本研究では、醤油製造廃水を処理可能な低温(20 ℃)UASB反応器と常温DHS反応器を組み合わせた高効率廃水処理システムの開発を目的として、醤油製造実廃水の連続処理実験を行い、その処理性能の評価を行った。UASB反応器の液容積及びDHS反応器のスポンジ容積はそれぞれ7.0L、20.8Lとした。UASB反応器の槽内は20℃に制御し、DHS反応器は無加温とした。実際の醤油製造工場から発生した醤油製造廃水を水道水で約25-16倍に希釈して供給COD濃度を調整し、供給廃水のpHを24%濃度のNaOHを用いて6.5以上になるように適宜投入した。連続処理実験の結果より、本システムは、UASB反応器におけるCOD容積負荷29±5.0kgCOD/m3/d、流入COD濃度7,800±940mgCOD/L、流入Na+濃度約4g/Lの条件下で、UASB反応器及びDHS反応器でのCOD除去率はそれぞれ、72±4.1%、81±1.3%であった。また、醤油実廃水を処理対象としているUASB反応器内でNa+が上昇した場合におけるUASB反応器内保持汚泥の性状把握のため、Na+存在環境下におけるUASB反応器内汚泥のメタン生成活性試験を行った。セラムバイアル内に、サンプリングした汚泥とNa+源としてNaClをそれぞれ0、2、4、6、8 g/Lとなるように調整し添加した。基質は水素と酢酸とした。4、6、8 g/Lの場合でも、水素基質では2.3、2.1、2.5 gCOD/gVSS/dとメタン生成活性値の低下が見られなかったが、酢酸基質ではそれぞれ0.6、0.5、0.3 gCOD/gVSS/dと大幅な低下を示した。また、低温で排出される牛乳製造廃水を処理対象として低温UASB反応器と常温DHS反応器を組み合わせた処理システムで連続処理実験を行った結果、COD容積負荷約8kgCOD/m3/dを達成した。
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