研究課題/領域番号 |
17K06630
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
和泉 信之 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80526773)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 制震 / 耐震 / 超高層建築物 |
研究実績の概要 |
本研究は、既存超高層鉄筋コンクリート造(RC造)建築物を対象に、非線形地震応答解析により、長周期地震動による骨組の被災度等を評価するとともに、耐震対策として制振デバイス補強による減災効果を評価するものであり、(A)被災度の評価、(B)室内被害指標の評価、(C)制振補強効果の評価の3段階に分けて実施する。 平成30年度には、(A)被災度の評価として、平成29年度に引き続き、(A2)既存超高層RC造モデルの被災度の算定を実施し、次に(A3)既存超高層RC造建築物の被災度の推定に着手した。 まず、(A2)既存超高層RC造モデルの被災度の算定を実施した。被災度は、一般建築物と同様に部材の損傷度に応じた5段階(無被害、軽微、小破、中破、大破)とした。この被災度は、(A1) 超高層RC造骨組の被災度評価方法の策定において検討した方法により,限界層間変形角Rmax及び耐震性能残存率HRを用いて評価した。これらの判定指標(Rmax、HR)は、非線形フレーム地震応答解析により算定した。検討用長周期地震動として南海地震等の巨大地震を想定した模擬地震動を用いた。 次に、(A3)既存超高層RC造建築物の被災度の推定に着手した。既存超高層RC造モデルの保有耐震性能指標(HIS値)と(A2) 既存超高層RC造モデルの被災度の算定において評価した判定指標(Rmax、HR)との関係を検討した。また、特定の地震動に対する既存超高層RC造モデルの耐震性能指標(SIS値)を保有耐震性能指標(HIS値)から推定する方法を検討した。これらの検討により、特定の地震動に対する既存超高層RC造モデルの耐震性能指標(SIS値)から被災度の判定指標(Rmax、HR)を算出して、被災度を推定する方法を示した。この方法により、告示波を例として既存超高層RC造建築物の被災状況を推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、長周期地震動を受ける既存超高層鉄筋コンクリート造建築物の被災度を評価し、減災対策を考察することである。2年度である本年度は、「(A)被災度の評価」として(A2)既存超高層RC造モデルの被災度の算定を実施し、(A3)既存超高層RC造建築物の被災度の推定に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、引き続き、(A3)既存超高層RC造建築物の被災度の推定を実施し、次に(B)室内被害指標の評価を実施するとともに、「(C)制振補強効果の評価」に取り組む予定である。現時点において研究計画の変更はなく、研究を遂行する上での問題点は生じていない。
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