令和2年度には、「(A)被災度の評価」として、前年度に引き続き(A3)既存超高層RC造建築物の被災度の推定、「(C)制振補強効果の評価」を実施した。さらに、最終年度として、本研究を総括して成果を取りまとめて報告書を作成した。 まず、(A3)既存超高層RC造建築物の被災度を実施した。被災度の推定には、特定の地震動に対する既存超高層RC造モデルの耐震性能指標(SIS値)から被災度の判定指標(耐震性能残存率HR、最大層間変形角Rmax)を算出する方法を用いた。被災度は5段階(無被害、軽微、小破、中破、大破)とし、入力レベルの異なる検討用地震動に対して、既存超高層RC造建築物の被災状況を推定した。 次に、「(C)制振補強効果の評価」として既存超高層RC造建築物における骨組の制振補強による被災度の低減効果を評価した。制振補強効果は、前年度までの研究成果から制振デバイスの補強量と耐震性能指標の増大効果との関係に基づき設定した。なお、制振デバイスには、オイルダンパーブレースを用いた粘性系デバイスを用いた。入力レベルの異なる検討用地震動に対して、制振補強による耐震性能指標の増大を考慮して、既存超高層RC造建築物の被災度の低減効果を評価した。 さらに、最終年度として、4年間の研究活動や成果等を総括した。本研究の目的は、既存超高層RC造建築物を対象にして、非線形地震応答解析を実施して検討用長周期地震動による骨組の被災度及び住宅の室内被害指標を評価するとともに、耐震対策として制振デバイス補強による減災効果を評価することである。本研究は、「(A)被災度の評価」、「(B)室内被害指標の評価」、「(C)制振補強効果の評価」の3段階に分けて実施した。 これらの研究活動により得られた研究成果を取りまとめて、「長周期地震動を受ける既存超高層鉄筋コンクリート造建築物の被災度評価及び減災対策」に関する報告書を作成した。
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