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2020 年度 実施状況報告書

軸力再配分ならびに連続する巨大地震を考慮した鉄筋コンクリート建物の崩壊性状評価

研究課題

研究課題/領域番号 17K06636
研究機関新潟大学

研究代表者

中村 孝也  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50305421)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード鉄筋コンクリート柱 / せん断破壊 / 主筋比 / 軸力比 / 限界変形
研究実績の概要

せん断破壊型の鉄筋コンクリート(RC)柱は脆性破壊する恐れから構造設計において敬遠される。しかし,せん断破壊型 RC 柱の破壊性状は主筋量によって大きく異なり,主筋量が多いほど剛性,耐力,靱性が高くなり,設計で生かす可能性が考えられる。ここで,曲げ破壊型RC柱では柱の終局的な靭性能を限界変形(水平力が最大耐力の80%まで低下したときの水平変形)で評価することが多い。一方,せん断破壊型RC柱は設計で用いられることが非常に少なく,用いられたとしても最大耐力以降の大変形領域には期待しないため,限界変形を調べることがあまり行われていない。しかし,主筋量が多く比較的粘りのある柱では,せん断破壊型RC柱でも終局的な変形を考慮した設計に使用できる可能性があり,限界変形の把握に意味があると考えられる。そこで,せん断破壊型RC柱を対象に,荷重低下後の大変形領域における限界変形等の実験結果と主筋比や軸力比等の実験変数との関係を調べた。その際,過去に実施された多数の実験結果をまとめたデータベースを用いて限界変形と各種の実験変数との関係を調べた。検討の結果,主として以下の点が明らかとなった。
(1)限界変形と軸力比との間に相関は見られない。限界変形と主筋比・主筋降伏強度にはある程度の相関がみられる。
(2) 主筋軸力比(軸力を主筋総断面積と主筋降伏強度の積で除した値)が大きいほど限界変形が小さい。更に損傷が進んだ耐力60%時では主筋軸力比と耐力低下時水平変形の相関がより強まる。これは,限界変形点のようにコンクリートの破壊が進んだ領域では,コンクリートに代わって主筋が軸力の多くを負担するためであると考えられる。しかし,限界変形と主筋軸力比が共に小さい試験体も存在するため,今後の検討が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和2年度は,せん断破壊型RC柱の破壊性状に対して主筋量と軸力比が及ぼす影響を把握するための静的加力実験を行い,過去の実験データベースにおける試験体と併せて限界変形などに対する検討を行った。しかし,感染症対策を行いながら実験を実施する必要があったため,当初予定していたよりも少ない数の試験体の実験を行うにとどまった。

今後の研究の推進方策

令和3年度は,昨年度に引き続きRC柱の主筋量を考慮した破壊実験を行う予定である。実験変数は過去の実験データを分析することにより決定する予定であるが,今のところ主筋の配筋方法およびクリアスパン比を考えている。加えて,過去に行った限界時間(揺れ始めてから限界変形に達するまでの時間)に関する地震応答解析を実施し,知見を蓄積する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度はせん断破壊型RC柱の静的加力実験を3体の試験体に対して行った。当初はこれよりも試験体数を多くする予定であったが,感染症対策のため予定通りに実験が進まなかったため,次年度使用額として計上した。次年度にはRC柱の静的加力実験を3体の試験体に対して行う予定である。その際,実験変数は主筋比およびクリアスパン比とする予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 主筋量の多いせん断破壊型鉄筋コンクリート柱の破壊性状評価2020

    • 著者名/発表者名
      山本郁,中村孝也
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 42 ページ: 121-126

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 市街地を対象とした旧基準中低層鉄筋コンクリート建物の耐震性能評価2020

    • 著者名/発表者名
      熊耳慶太朗,中村孝也
    • 雑誌名

      構造工学論文集

      巻: 67B ページ: 39-48

    • 査読あり
  • [学会発表] 主筋量が多いせん断破壊型柱を利用したRC造建物の地震応答解析2020

    • 著者名/発表者名
      森田一輝,中村孝也
    • 学会等名
      日本建築学会北陸支部大会研究報告集
  • [学会発表] 新基準RC建物の改修における壁量減少が耐震性能に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      原匠吾,中村孝也
    • 学会等名
      日本建築学会北陸支部大会研究報告集
  • [学会発表] RC建物が限界変形に至る時間の解析2020

    • 著者名/発表者名
      中村孝也
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集
  • [学会発表] Collapse Time of Reinforced Concrete Buildings considering Successive Earthquakes2020

    • 著者名/発表者名
      Yijun Guo and Takaya Nakamura
    • 学会等名
      17th World Conference on Earthquake Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] Structural Performance Evaluation of Shear-failing RC Columns with Large Longitudinal Reinforcement Ratio2020

    • 著者名/発表者名
      Takaya Nakamura, Kyohei Miyajima, and Iku Yamamoto
    • 学会等名
      17th World Conference on Earthquake Engineering
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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