研究課題/領域番号 |
17K06638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築構造・材料
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山崎 真理子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70346170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経年使用木材 / 力学的耐久性 / 疲労試験 / エネルギー解析 / セルロース格子ひずみ |
研究成果の概要 |
本研究では,経年使用による木材の変形機構を明らかにし,古材の力学的耐久性を評価することを目的とした.ミクロ挙動からは変形機構としてセルロースの力学性能の変化を,また疲労試験によるマクロ挙動から残存寿命を検討した. その結果,古材化により,細胞壁2次壁内に層間剥離といった何らかの微小損傷を生じたことを示唆した.これにより,疲労試験の終局エネルギーが新材より低下し,かつ包絡線エネルギー(疲労破壊中に消費するひずみエネルギー)に占めるその割合が増加した.引張の場合には250年程度で包絡線エネルギーをほぼ消費しており,その後の力学的耐久性はこの終局ひずみエネルギーの推移で表現できることを示唆した.
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自由記述の分野 |
木材工学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材における古材化の研究は,構造利用と文化財の両面からその意義が理解される.本研究の学術的意義は,古材の力学耐久性について,疲労試験によるエネルギー論的アプローチを用いた点と,木材バルクと細胞壁2次壁の各層のセルロース鎖の力学挙動を同時測定することで,古材化によって荷重伝達の遅れが生じることを見出した点にある.200年から250年使用された木材の場合,引張および曲げの力学耐久性は低下したが,曲げに対する低下の程度は引張ほど大きくない.一般に,木造建築の構造部材は曲げあるいは圧縮負荷を担うように配置されることが多く,これは力学的耐久性の観点からも理にかなった使用法である.
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