研究課題/領域番号 |
17K06640
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松本 幸大 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00435447)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炭素繊維強化樹脂 / 容器構造 / 補強 |
研究実績の概要 |
鋼製円筒容器構造物に対して,地震力が作用した際の破壊モードと耐震性能を分析するため,日本建築学会 容器構造設計指針・同解説を参考に内圧および水平力が作用する状況を模擬した分析を実施した。構造規模(円筒構造の径厚比)について3種類,内圧を2種類設定し,無補強の場合・炭素繊維強化樹脂により補強した場合の検討を行い,炭素繊維強化樹脂を容器構造の外側に配することで,大幅な耐力向上が期待できることを明らかとした。炭素繊維の補強については,肉厚と容器構造の高さに対する比(全高さ,半分の高さなど)を設定し,その効果の違いを分析した。更に,炭素繊維の基材構成をパラメトリックに変更して分析し,構造物の底部における象の足座屈を拘束した場合,剪断座屈によって耐力が決定されることから,さらに正負45度方向の補強を行うことでも更に耐力上昇が可能となることを明らかにできた。 具体的には,容器鋼板厚さ10mm,径厚比1000の場合,周方向のみに5mmの炭素繊維強化樹脂により補強によっても最大で1.4倍程度の耐力上昇が得られ,最大耐力到達後の耐力低下も2倍程度の耐力保持が可能であることを明らかとした。また径厚比500の場合では,周方向のみに5mmの炭素繊維強化樹脂により補強によっても最大で1.6倍程度の耐力上昇が得られ,最大耐力到達後の耐力低下も2倍程度の耐力保持が可能であることを明らかとした。補強範囲については,象の足座屈のみを拘束する目的で,容器構造の下側20%部分のみを僅か1mm程度の炭素繊維強化樹脂で補強することでも5%程度の効果が得られることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鋼製容器構造について,径厚比3種・内圧2種の計6種について,それぞれ無補強の場合と炭素繊維強化樹脂により補強した場合(6種それぞれに対して4種類の補強パターン)について,その効果を分析を進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
初年度において,無補強と補強後の地震時の崩壊性状や補強効果の取得が完了したことから,設計法の構築を進める。具体的には,日本建築学会 容器構造設計指針・同解説を参考に補強を行ったことにより,内圧によって生じる膜応力が低減できること,座屈後の変形が弾性材料である炭素繊維によって大幅に拘束され座屈後の耐力低下も抑えられることから,前者について設計式における膜応力の値,後者については構造特性係数等に反映し,補強後の耐力推定を試みる。また,炭素繊維の基材構成や補強量によっても崩壊モードが異なることから,古典的な軸圧縮線形座屈耐力式を援用して設計法に反映させる。
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