研究課題/領域番号 |
17K06650
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
谷口 徹郎 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30231418)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非定常風力 / Wavelet 変換 / Complex Envelope / 風洞実験 |
研究実績の概要 |
超高層建築物、あるいは今後建設が予想される超々高層建築物の耐風設計を行う場合、応答に伴う風力、所謂、非定常風力の評価が重要になる。本研究ではWavelet 変換を用いた非定常なコヒーレンス評価に関する研究成果に基づいて、この非定常風力を時々刻々変化する時系列として評価する方法について検討を行った。 この方法の特徴は、元の変位および風力データを、Complex Envelopeを用いて複素数に拡張し、Wavelet変換という時間局所性を有する基底を用いた解析方法により、変位と風力の位相関係を時間の関数として評価し、時々刻々変化する非定常風力を直接求めることができる点にある。また、本研究では今後のエネルギー的な側面からの評価も視野に入れ、直交性を有するMeyerのWaveletを用いている。 当初は、本研究によってロッキング模型を用いた風洞実験を行い、その実験結果に基づいて評価方法の検討を行う予定であったが、進捗状況で示すとおり風圧計の納入が遅れたために風洞模型の制作にかかれず、風洞実験を行うことができなかった。そこで、別の類似した実験結果を用いて、評価方法の検討のみを先行して行った。 得られた結果は良好で、提案した方法を用いることで、変位振幅の増減と整合する非定常風力の変動を時間の関数として評価できることを確認した。特に風洞流という比較的定常な流れの下でも、振動状態は時折強い非定常性を示すことなどを明らかにすることができ、ほぼ期待通りの成果が得られた。また、その成果の一部は2018年度の建築学会大会にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
風圧計の納入が遅れたため、当初予定していた風洞実験を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に、解析方法は確立できたこと、また、当初予定していたロッキング模型を用いた風洞実験に類似の実験による結果が比較的容易に使用できる可能性が出てきたことを踏まえ、今年度は、風洞模型をより野外実験模型および実構造物に近い多自由度弾性模型にグレードアップして風洞実験を行い、昨年度確立した評価方法を用いて非定常風力の評価を行う。また、野外実験結果に同解析法を適用し、自然風下での非定常風力についても調べる予定である。 来年度は風洞実験および野外実験の結果を比較検討し、その類似点・相違点を整理することで、今後のより合理的な耐風設計に資する成果の取得を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
風圧計の納入が遅れ、当初予定していた風洞模型の制作が行えなかったため。今年度、風洞模型を制作する予定であり、昨年度の残額はこれに充てる予定である。
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