研究実績の概要 |
日本建築学会から平成26年に「再生骨材を用いるコンクリートの設計・製造・施工指針(案)」(以下,指針(案)という)が発行されている。この指針(案)の第11章には鉄筋コンクリート部材に用いる再生骨材コンクリートLという章が設けられており,資源循環型社会の推進の観点から低品質の再生骨材Lを普通骨材と混合使用し調合に工夫を加えて鉄筋コンクリート部材に適用する方法が示されている。本研究では指針(案)に示される特殊配慮品と定義される低品質再生骨材コンクリートを用いた。指針(案)において低品質再生粗骨材と低品質再生細骨材を併用する場合の混合割合の上限値は品質低下の度合を制御するため,低品質再生粗骨材は30%,低品質再生細骨材は15%の混合割合としている。実験に使用した低品質再生骨材コンクリートはこの混合割合の上限値を適用した低品質再生骨材コンクリートを使用した。低品質再生骨材コンクリートと比較するため,普通骨材を用いたコンクリートを計画した。それぞれのコンクリートにはビニロン繊維1.0vol.%を添加した試験体と添加していない試験体を計画し,ビニロン繊維の添加の有無の影響について検討を行った。 試験体の寸法は高さ900mm,断面の直径300mm,かぶりコンクリートの厚さ25mmである。加力は1軸圧縮単調載荷で500kNを1サイクルとする1方向の繰り返し載荷とした。ビニロン繊維が添加された低品質再生骨材コンクリートを用いた場所打ちコンクリート杭の耐荷力について実験を行った結果,コンクリートの圧縮強度の差のため低品質再生骨材コンクリートの試験体の耐荷力は普通コンクリートの試験体と比較し低下する傾向があった。またビニロン繊維による補強効果の発揮は最大荷重が若干上昇する程度で僅かであったが,最大荷重以降は荷重を維持して靭性のある履歴が認められた。
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