研究課題/領域番号 |
17K06657
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮里 直也 日本大学, 理工学部, 教授 (10513997)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ローラーコースター / 遊戯施設 / 時刻歴応答解析 / 縮尺模型 |
研究実績の概要 |
平成19年告示改正以降,高さ60mを超える遊戯施設は時刻歴応答解析による安全性の確認が求められている。しかし,「ローラーコースター」などは通常のフロアーが明確な建築物と異なり連続的,かつ複雑に高さ等が変化し,さらに客席部分の移動荷重の取り扱いも含めて,その検証方法及び結果に対する評価方法が一切明確にされていない。そこで,実験及び数値解析を用いて客席部分の移動が主要な支持部分に及ぼす影響について定量的な評価を試み,高さ60mを超える遊戯施設の設計手法の確立,基礎的なデータの蓄積を目的としている。 平成30年度は、平成29年度の(1)既存のローラーコースターと台車の形状,構造諸元等の調査・分析を踏まえて、 当初申請時に計画していた (3)縮小試験体を用いた振動実験の実施を中心に検討を進めた。昨年度の研究成果から非常に複雑な構造モデルとなるローラーコースターについて、その基本的な振動性状の把握が必要との考察が得られたため、まずはその検討について特に重点的に進めた。 その中でも、特に3Dプリンターを用いた複雑な形状を精巧に再現した縮小模型を用いた地震時の応答性状の把握及び簡易評価のための検討を中心として実施した。簡易評価のためのモデルとして、複雑なローラーコースターの一部を抽出したモデルを用いたスタディーや全体モデルの振動実験模型の製作、及び基本的な応答性状の把握を目指した振動実験を実施した。また、その他、実存する高さ60Mのローラーコースターを参考にしたモデルに対する数値解析プログラムによる検討、及び数値解析に用いる基礎データの収集のための接合部の簡易実験等も実施した。 今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するために当てられた。特に、複雑な形状を有する模型作成のために必要な3Dプリンター用の樹脂や、数値解析のためのソフトなどを補助金より購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の平成29年度に設定していた研究項目を踏まえて、今年度(平成30年度)は、研究項目・内容について、一部修正を加えて実施した。修正内容としては、高さ60mを超える非常に複雑な形状を有するローラーコースターは、その構造モデルについても非常に複雑な形状となり、地震時の振動性状や挙動が高さのことなるゾーン毎に大きく異なることが想定されたため、全体モデルを用いて、地震時の基本的な振動性状の把握について数値解析プログラムを用いた検討、及び小規模模型を用いた実験的検討を実施する計画であった。数値解析プログラムを用いた検討については概ね想定通り実施できている。一方、数値解析による検討結果を踏まえて小規模模型を用いた振動実験の実施を試みたものの、3Dプリンター等を用いた試験体の製作が想定以上に難しく、幾分時間を要した。ただし、試験体製作に関してはある程度目処がつき、予備的な振動実験は実施できている状況である。このため本格的な振動実験を実施することができなかったことを踏まえて、自己点検としては当初の予定より研究の進捗状況はやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法としては、平成29年度、平成30年度に把握することができた高さ60Mを超えるローラーコースターの基本的な振動特性や構造挙動を踏まえて、小規模模型を用いた振動実験を実施する予定である。振動実験では、様々な地震波による検討、減衰定数に関する検討、及び数値解析結果との検証を通じた数値解析の妥当性に関する評価、等についてそれぞれ検討を進める予定である。なお、部分モデルの小規模模型実験と数値解析による検証もあわせて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に研究を進めた結果、当初予定していた実験方法、小規模模型の製作に関して試行錯誤で進めた。その結果、本格的な試験の実施まで行えなかったことから、実施できなかった実験等に関する項目については、次年度で実施するように研究計画を変更したため、次年度使用額が生じている。次年度は、前年度の研究成果を踏まえて、小規模模型を用いた振動実験や数値解析プログラムを用いた検討を行う予定である。それらに次年度使用額を使用する計画である。
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