研究課題/領域番号 |
17K06661
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
田川 浩之 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (60422531)
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研究分担者 |
杉浦 徳利 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (50411955)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | RC厚肉床壁構造 / デザイン代 / 平面による構成 / 有限要素解析 / 連層耐震壁 / フラットスラブ / 耐震性能 / 建築教育 |
研究実績の概要 |
厚い壁と厚いスラブから構成されるRC厚肉床壁構造は、ラーメン構造のように大梁を架ける必要がないためグリッドに縛られることが少なく、比較的自由に壁を配置できる。よって、コンクリートの可塑性、連続性が生かされた自由な平面計画を可能とし、柱型、梁型が内観に表れない開放的な空間が確保できる。ところが、ラーメン構造と比較してRC厚肉床壁構造の構造上の知見は少なく、構造設計手法も十分に整備されていないため、ラーメン構造や壁式構造などの計算規準を準用して構造設計されることが多い。RC厚肉床壁構造は、RC壁式構造と同様、高い耐震性能を保有していると考えられており、建築意匠、計画にあわせて比較的自由に構造計画を立てられるが。構造上の制約を無視できるわけではない。本研究では、RC厚肉床壁構造は、構造的制約をどのくらい緩和でき、建築デザインを許容できるのか(構造面の制約を満たす建築デザインの許容度を「デザイン代(しろ)」とよぶ)を明らかにすることを目的とする。 平成30年度は、武庫川女子大学建築学科の院生と教員の計10名によって、RC厚肉床壁構造を想定して造形された「平面による構成」の作品が、どれくらい構造面での実現性を有しているかを有限要素解析により明らかにした。その結果、多くの作品で、壁板と床板の接合部で最小主応力度が長期許容応力度を超過したが、床板の厚さを増す(実際にはボイドスラブにするなど)、グリッドに捉われることなく独立柱を追加するなどの比較的僅かな変更によって、大きく改良できることが判明した。すなわち、RC厚肉床壁構造は、構造性能を確保しつつ、自由度の高い設計を行うことができると推察される。 また、これら比較的単純なRC厚肉床壁構造に対する試解析を通じて、今後、実際のRC厚肉床壁構造の非線形有限要素解析を実施するために必要なモデル化手法や材料構成則の検討も並行して実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的単純なRC厚肉床壁構造に対する試解析を実施し、実際の複雑なRC厚肉床壁構造の非線形有限要素解析を実施するために必要なモデル化手法や材料構成則の検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
実際のRC厚肉床壁構造の有限要素モデル作成、ならびに非線形有限要素解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な物品購入を行う。
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