研究課題/領域番号 |
17K06668
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
小笠原 永久 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (60262408)
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研究分担者 |
山田 浩之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (80582907)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 赤外線サーモグラフィ試験 / 偏光理論 / 放射率 / 反射率 / 背景反射 / 対面角度 |
研究実績の概要 |
本研究は,赤外線偏光フィルターを利用し,赤外線サーモグラフィ試験における,太陽や背景構造物から受ける背景反射の影響を削除する手法を確立することである.本年度は,1.赤外線領域における偏光理論の確認,2.定性的な背景反射除去アルゴリズムの構築を行った. 1.赤外線領域における偏光理論の確認 マックスウェルの電磁理論式から求められる偏光光線の反射率の式,透過率を0.0と仮定した際の放射率の式,および物質界面の光の反射を表現するフレネルの式について,赤外線領域で成立するのか,既存の赤外線サーモグラフィ装置を利用して確認を行った.対面角0度における放射率測定の結果から対象材料の屈折率を算出し,上記の式に代入すると,角度依存の式となる.対面角度を10度ごとに変更し,偏光反射率と偏光放射率を求めた.偏光放射率は,実験地と理論値はほぼ一致することを確認した.偏光反射率に関しては,鏡面反射率と拡散反射率を区別して測定する必要があり,背景反射除去のためには,対象物の鏡面反射率を測定しておくことが大事であることが示された. 2.定性的な背景反射除去アルゴリズムの構築 S偏光とP偏光の偏光反射率と偏光放射率の違いを利用し,背景反射と欠陥部からの放射を定性的に判別できるアルゴリズムを構築した.対面角度変化による,放射率と反射率の角度依存性も考慮に入れている.可視カメラやレーザー変位計を用いることで,対面角度を算出し,画素ごとに判別を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的に対し,ほぼ予定通りの研究を行い,満足のいく結果を得られている.当初は,長波長型赤外線カメラを購入し,各種試験を実施する予定だったが,研究室既存の赤外線カメラで対応した.偏光放射率や偏光反射率の計測には,バッテリー駆動である必要がないため,問題なく実施できた.平成30年度に購入し,その他の計測を実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に構築した定性的反射除去アルゴリズムの完成度を上げ,定量的反射除去アルゴリズムを構築する.これによって,背景反射と傷からの放射が重なっている場合にも適用できることになる.アルゴリズムの有効性を確認するために,長波長型赤外線サーモグラフィ装置を購入し,検証実験を行う予定である.これらは,交付申請書に記載した年度目標に沿うものである.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施した実験が屋内でバッテリーを使用せず実施できるものであったため,購入予定であった長波長型赤外線サーモグラフィ装置を購入せず,研究室既存の短波長型赤外線サーモグラフィ装置を利用して,実験を行った.今年度は,実験室および屋外の測定実験も予定していることから,平成29年度に購入を予定していた長波長型赤外線サーモグラフィ装置を購入予定である.
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