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2017 年度 実施状況報告書

耳入力信号に着目した都市・建築空間における音情報の伝送品質評価に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K06671
研究機関神戸大学

研究代表者

佐藤 逸人  神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346233)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード音声品質 / ピッチ / 耳入力信号
研究実績の概要

本研究の目的は,音情報の伝送品質を一般的な信号音と妨害音の強度比ではなく,人間が聴く音,つまり左右の耳に入力される音のみから評価する方法を研究することである。平成29年度は,片耳に入力される音を対象とし,調波構造の「連続性」に基づくパターン認識のしやすさを尺度化する方法を検討した。信号音は調波構造を持つ音声,妨害音は調波構造を持たない定常雑音とした。
まず,耳入力信号の調波構造を分析する方法を検討した。音の調波構造は音の高さ(ピッチ)の知覚に深く関連していることを踏まえ,ピッチ知覚に関する既存の聴覚モデルを調査した。その結果,Langnerが提案しているperiodicity(音の時間波形の周期性)の聴覚モデルを応用して調波構造の強度を尺度化することとした。このモデルでは,基本周波数とその整数倍の周波数成分が同期して存在すれば,その基本周波数に相当する周期において強いperiodicityが出力される。10msの時間窓を移動させながらperiodicityを算出し,それぞれの時間窓において5つの候補から過去10サンプルから外挿した値に最も近いperiodicityを選択するプログラムを開発した。次に,periodicityの差分の絶対値を求め,その時間平均値を調波構造の「連続性」の指標とする方法について検討した。この指標値は連続性が高いほど小さい値となる。音声と定常雑音の強度比をパラメータとして,複数の雑音付加音声を作成し,それぞれについて連続性の指標値を算出した。その結果,音声に対して定常雑音が卓越するほど連続性の指標値が増大し,調波構造の「連続性」が低下することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

調波構造の「連続性」を尺度化する方法の検討に、過去の研究事例の調査を含めて予想以上の時間を要した。分析対象とした音声の種類が少なく,平成29年度に検討した方法が音声一般に適用できるかはまだ不明であり,調波構造の「連続性」を尺度化する方法の確立までは至っていないが,研究計画段階でも平成30年度前半までは引き続きこのテーマの研究を続ける予定であり,おおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

平成30年度前半は引き続き調波構造の「連続性」に基づくパターン認識のしやすさを尺度化する方法の検討を進める。時間窓長の最適化や,分析対象とする音声および定常雑音の周波数特性等を変えた場合の影響等について検討し,平成29年度に開発した尺度化方法の確立を目指す。また,音声了解度試験の結果との比較も行う。
平成30年度後半からは,例えばロングパスエコーのような調波構造を持つ妨害音についての検討に着手する。連続性を持つ調波構造が複数存在することが想定されることから,まず平成29年度に開発した尺度化方法をそのような条件に対応させることから研究を開始する。

次年度使用額が生じた理由

データの分析補助に対する謝金を予算に計上していたが,データ分析が研究代表者による試行錯誤の段階に留まったため,次年度使用額が生じた。平成30年度のデータ分析補助に次年度使用額を充当する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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