後発途上国であるCLM諸国(カンボジア,ラオス,ミャンマー)の住宅部門における温室効果ガス削減手段として再エネ設備を導入する場合の効果を検討した。 コロナ禍により,当初予定されていたCLM諸国における省エネ/再エネプロジェクト(例えば,太陽光発電・太陽熱温水器導入プロジェクト)の現地調査の実施が困難となった。 そこで,研究計画の一部を変更し,実態調査に替えて(1)文献によるCLM諸国の省エネ/再エネプロジェクトの悉皆調査を行い,(2)現地にあるものと同等以上の省エネ/再エネ施設が普及した場合の省エネ効果,二酸化炭素排出量低減効果を検討することとした。 この際,(3)現地にあるものと同等以上の省エネ/再エネ施設を日本国内で準備し,(4)同施設の実稼働データと現地の設備諸元および気象データを組合せ,現地の省エネ/再エネ施設の仮想稼働シミュレーションを実施して,省エネ効果,二酸化炭素排出量低減効果を検討することとした。 一例としてラオスの省エネ/再エネ施設を取り上げると次の通りとなる。現在,ラオス・ヴィエンチャン都において,公共施設の屋根に太陽電池を設置するクリーンエネルギー導入計画が進められている。同施設では発電設備は系統連系しており,バッテリー(蓄電池)は使用されていない。この現状に対し,太陽光発電に蓄電池を組み合わせた場合,施設の電力自立/自律性,省エネ・二酸化炭素排出量低減効果が高まることが期待される。そこで,本補助金を用い,山口県内において太陽光発電と蓄電池を組み合わせた施設を整備し,同施設の稼働データを収集した。この国内施設稼働データをもとに太陽光発電-蓄電池システムのシミュレーションモデルを構築した上で,ラオス・ヴィエンチャン都の太陽光発電の設備諸元と同地の気象データを入力し,現状の現地施設との比較により省エネ効果,二酸化炭素排出量低減効果を算出した。
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