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2018 年度 実施状況報告書

建築ストックの健康寿命延命のための照明レトロフィットに関する指針提案

研究課題

研究課題/領域番号 17K06677
研究機関千葉工業大学

研究代表者

望月 悦子  千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (80458629)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード照明改修 / 近代建築 / 重要文化財 / 内装材 / LED照明 / 印象評価 / 被験者実験
研究実績の概要

本研究の目的は、歴史的建築物の当初の雰囲気を的確に表現する照明改修の方法を提案することである。竣工当初の用途ならびに現用途の異なる複数の建築物について評価を行いたいと考えていたが、改修工事中であったり、あるいは、現場での評価実験が困難な場合が多かった。そこで2018年度は、現場での評価ではなく、画像を用いた評価でどこまで再現可能なのか、実験手法の検討から始めた。
2018年度は、重要文化財Jで現場実験を実施することができたので、1)現場での印象評価実験、2)画像(写真)による印象評価実験、3)照明改修による光環境の印象変化に関する画像評価実験の3つを実施した。1)と2)により、画像による評価手法を確立し、3)で竣工当初の光環境を再現しつつ、現用途にも相応しい照明手法について検討することとした。
1)と2)の実験結果を比較したところ、「明るい-暗い」「開放的-閉鎖的」は現場評価と画像評価とで差が大きく、「華麗な-素朴な」「暖かい-冷たい」といった印象評価は比較的差異が小さかった。画像によって評価可能な尺度をいくつか抽出した。また、現場を実際に観察した被験者の方が、画像と現場での評価差は小さくなる傾向にあった。空間特性の把握が画像評価においても重要であることがわかった。
3)の実験結果では、重要文化財Jの12室中11室で、竣工当初の照明環境のままでは現用途に適合しないと評価された。一方で、現在の照明環境も現用途に必ずしも適していると評価された訳ではなかった。空間に求められる雰囲気を演出する光と空間の機能を果たすための照明の両立が課題である。
今後は、文化財としての価値を評価する尺度の選定、ならびに重要文化財としての価値を理解できる者も含めた評価が必要と考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請当初は3Dプリンタを用いて、いくつかの歴史的建築物の内部を再現し評価を行おうと考えていたが、模型による評価の場合、3Dプリンタで作成しても、歴史的建造物にしばしば使用される凹凸の大きい内装材の再現性に乏しいことがわかった。
画像による評価は、模型作成や条件設定に要する時間を省くことが可能だが、奥行きのある空間を二次元で再現する場合の撮影方法、画像呈示方法については課題として残った。
2018年度は、現地で実験・評価可能な物件を調査したが、改修工事中などの理由で、1件しか評価を行うことができなかったため、予定よりも進捗がやや遅れてしまった。

今後の研究の推進方策

2019年度は、画像による空間印象の再現性をさらに高めることを主眼に、360°カメラを用いて複数の空間の印象評価を実施する予定である。360°カメラにより撮影した画像による評価の再現性に関しては、先行研究で検証も進められているところである。
2018年度に実施した実験方法から、画像の呈示方法、評価に用いる形容詞対の再検討、評価対象空間の拡充を図る。

次年度使用額が生じた理由

2018年度は実際に評価できる物件が予定数よりも減ってしまったため、人件費・謝金ならびに旅費の使用額が計画よりも少なくなった。また、実験方法を変更し、予定していた3Dプリンタの購入を中止した。代わりに、画像による評価実験を行う際に使用する空間の整備にあたって、人工光源装置を購入した。
2019年度は360°カメラを用いた評価実験を予定しているため、360°カメラならびに画像を映し出すスクリーン等の購入を予定している。また、評価対象物件数を増やす予定のため、画像撮影にかかる現地までの旅費を支出する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 複雑なテクスチャを持つ建築空間の写真による印象評価の可能性2019

    • 著者名/発表者名
      児玉大輔, 望月悦子
    • 学会等名
      日本建築学会大会

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公開日: 2019-12-27  

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