研究課題/領域番号 |
17K06677
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
望月 悦子 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (80458629)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 照明環境 / 印象評価 / 全天球画像 / VR / プロジェクター / 被験者実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歴史的建築物の当初の雰囲気を的確に表現する照明改修の方法を提案することである。研究開始当初は、実際の重要文化財等の現場で評価実験を行うことを想定していたが、改修工事が行われていたり、照明方式を実験条件として変更することが難しく、実施が困難であった。そこで2018年度より、現場での評価ではなく、画像を用いた評価方法の検討に方向を転換した。 2019年度は、より実空間に近い印象を得るため方法として、全天球画像をVR機器を用いて視野全体に提示する方法について検討した。 画像提示手法に関する検討のため、3つの実験(実験1:空間の大きさ、昼光の影響の検証、実験2:光の量・色の再現性検証、実験3:提示媒体による再現性検証)を行った。これらの実験では大学構内の教室を実験空間に用いた。全天球画像をプロジェクターとVRで提示し、実空間における印象評価と両者の印象評価を比較したところ、空間の広さに関する評価は、VR・プロジェクター共に実空間における評価と比較的高い相関が見られた。一方、照明計画にとって重要な明るさに関する評価については、視野内の輝度分布が比較的小さい場合には、VR・プロジェクター共に実空間に近い評価が得られることを確認した。また、85%の被験者がVRの方がプロジェクターよりも実空間の再現性が高いと評価していた。 さらに、本研究で対象とする歴史的建築物への適用性を確認するため、空間の大きさや昼光の入射状況、明るさの異なる2つの重要文化財、9つの空間において、現場と全天球画像とで印象評価を比較した。輝度分布が比較的小さい空間で明るさ評価の相関が良いこと、また、空間の広さについては、寸法を判断できるものの存在も必要であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史的建築物における評価実験の結果分析のため、2020年2月以降に、各評価空間の輝度分布を測定する予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大による各施設の閉鎖により、まだ測定ができておらず、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
全天球画像をVR機器を用いて提示する方法が適用できる光環境の条件を明らかにすることを目的に、視野内輝度分布の状態を表す様々な指標を検討したが、全ての実験空間における評価結果を説明できる指標は見つからなかった。2019年度に実施した実験では、一条件あたりの被験者数が少なかったこと、また、実験空間のバリエーションが限られていたこともあり、全天球画像で実空間を再現できる光環境の条件を明らかにすることはできなかった。2020年度は更にデータを蓄積していき、全天球画像で評価できる光環境の条件を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は3Dプリンタで作成した模型を用いて評価実験を行う計画であったが、安価かつ比較的精度の高い全方位カメラが市販されたことに伴い、実験方法自体を見直したため、当初予定額との差が生じた。 2020年度は、2019年度に実施した実験の条件を拡張し被験者の評価データを蓄積すること、また、現地の輝度分布と全天球画像の階調値分布を比較分析し、全天球画像での印象評価が可能な光環境条件についてデータ分析を行う予定である。被験者の評価データ蓄積のための謝金、画像解析のためのソフトに助成金を使用する計画である。 また、現在、論文投稿中であり、掲載決定した際には、投稿料の支払いにも充てる予定である。
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