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2021 年度 実施状況報告書

頸髄損傷者の至適温湿度範囲に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K06679
研究機関日本大学

研究代表者

三上 功生  日本大学, 生産工学部, 准教授 (80434124)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード頸髄損傷者 / 体温調節障害 / 人工気候室実験 / 相対湿度50% / 標準着衣量0.6clo / 中間期 / 至適温湿度範囲 / 25±1℃
研究実績の概要

本研究の目的は、重度の体温調節障害(ほぼ全身に及ぶ発汗障害、血管運動障害、熱産生障害、温冷感麻痺など)を持つ9名の頸髄損傷者(以下頸損者)を、人工気候室内で9つの環境条件(室温22℃-相対湿度40, 50, 70%、室温24℃-相対湿度40, 50, 70%、室温26℃-相対湿度40, 50, 70%)に90分間曝露し、それらの温熱生理心理反応のデータと、1975年から行ってきている過去の人工気候室実験のデータ(結果)を合わせ、標準着衣量0.6clo(春季と秋季の季節に対応する中間期の着衣の断熱性能に相当)における頸損者の至適温湿度範囲を求めることである。
研究成果は、ほぼ全身の温冷感が麻痺している当事者とその介護者にとって、室内温湿度を調節する際の判断材料となり、また建築設備設計技術者にとっても、頸損者が使用する可能性のある公共施設の空気調和設備を設計する際の資料として利用できる。研究成果は、頸損者のQOL向上に繋がるものと信じている。
9名の頸損者のうち、5名の頸損者については既に人工気候室内で9つの環境条件に曝露され、実験を終えている。残りの4名の頸損者については、6つの環境条件(室温22℃-相対湿度40, 70%、室温24℃-相対湿度40, 70%、室温26℃-相対湿度40, 70%)への曝露が残されており、令和2, 3年度に人工気候室実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験を延期することになった(令和2, 3年度と2年連続で実験を行うことが出来なかった)。
9名の頸損者は全員、相対湿度50%での温度条件下(22, 24, 26℃)での人工気候室実験は終えている。そこで、これらの実験結果と、過去の人工気候室の結果を合わせ、中間期且つ相対湿度50%における頸損者の至適温度範囲について検討した結果、25±1℃と推定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前述の通り、9名の頸損者は全員、相対湿度50%での温度条件下(22, 24, 26℃)での人工気候室実験を終えている。しかし、9名中4名の頸損者は、 6つの環境条件(室温22℃-相対湿度40, 70%、室温24℃-相対湿度40, 70%、室温26℃-相対湿度40, 70%)への曝露が残されており、令和2, 3年度に実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験を延期せざるをえなかった。
実験延期の具体的な理由は、人工気候室内は常に換気は行われているが、被験者である頸髄損傷者と実験補助者である学生が実験室内で隣り合わせに配置されてしまうため、一般健常者より免疫が劣る頸損者の新型コロナウイルス感染症への罹患の危険性を考慮したためである。

今後の研究の推進方策

人工気候室実験を再開できるか否かは、国内の新型コロナ発生状況と国内のワクチン接種実績にかかっていると考えている。まずは被験者である頸髄損傷者のワクチン接種が最重要で、ワクチンの3回目摂取後に人工気候室実験の再開について話し合い、インフォームドコンセントが得られた頸髄損傷者から、実験を再開する。なお、実験再開のもう一つの条件として、実験補助者になる学生も、3回目のワクチン接種が終了していることが挙げられる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、頸髄損傷者4名を対象とした未実施の人工気候室実験を実施できなかったため、被験者に謝金を支払うことができなかった。また、研究の途中経過報告を様々な学協会の大会で発表したが、全てオンライン開催だったため、参加旅費を使用することができなかった。
次年度使用額の使用計画
①人工気候室実験の被験者への謝金、②複数の学協会主催による研究発表会への参加旅費、③人工気候室内に設置する高精度の空気清浄機の購入費、④学術雑誌への投稿・掲載費など

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 頸髄損傷者の至適温湿度範囲に関する研究 -相対湿度50%での最終検討-2021

    • 著者名/発表者名
      大関俊哉, 三上功生
    • 学会等名
      2021年度日本建築学会大会(東海)学術講演会
  • [学会発表] 相対湿度50%における頸髄損傷者の至適温度範囲の最終検討2021

    • 著者名/発表者名
      三上功生
    • 学会等名
      第35回リハ工学カンファレンス in 北九州
  • [学会発表] 頸髄損傷者の温熱環境に関する研究 -中間期、且つ相対湿度50%での至適温度範囲の検討-2021

    • 著者名/発表者名
      三上功生
    • 学会等名
      日本建築学会 第50回 熱シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 中間期の頸髄損傷者の至適温湿度範囲に関する研究 -相対湿度50%での検討-2021

    • 著者名/発表者名
      大関俊哉, 三上功生
    • 学会等名
      第54回日本大学生産工学部学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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