研究課題/領域番号 |
17K06682
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩本 靜男 神奈川大学, 工学部, 教授 (20213316)
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研究分担者 |
傳法谷 郁乃 神奈川大学, 工学部, 助教 (00782301)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 給水温 / 給湯設備 / エネルギー評価 / 水道水温 / 給水方式 |
研究実績の概要 |
本学施設部に協力を依頼して本学BEMSによる計測とした。受水槽水温の代用として給水ポンプ下流側に適切な水温センサーを挿入することで1分間隔の自動計測を行っている。給水方式や受水槽の位置が異なる学内3棟で、水温のほか給水ポンプの発停、受水槽周囲気温、外気温湿度を計測できている。月別給水量は本学職員による水道メータの目視から得られている。平成29年8月に工事完了して9月から平成31年3月まで順調に計測結果が得られている。実測結果の処理方法としては、日最低給水温、毎正時の受水槽周囲気温と外気温などを実測期間中について整理している。 受水槽に補給されるタイミングを見るため、高置タンク方式の建物の受水槽の定水位弁の開閉信号を平成30年4月から計測することとした。観測結果からこの水位弁は常時開であることがわかった。これらの計測結果から高置タンク方式の計測水温の日最低値を水道水温とみなすこととした。従来の水道水温予測法を用いて2018年1年間について予測値を求めた。実測値と予測値とは±1℃を超えることを確認した。さらに水源の河川状況に応じて計算条件をチューニングすると誤差は小さくなると思われる。また受水槽には常時水道水が補給されている状態であることから、水道水は定常的に地中を流れてくるため、地中温度の影響も小さくないと思われる。これらの観点からさらに予測精度向上を目指す予定である。 これらの成果の一部は平成30年8月にCIB-W062の国際会議に参加して発表し、意見交換を行えた。実測値と予測値の比較について、平成30年9月の日本建築学会大会、空気調和・衛生工学会大会にて口頭発表を行い、質疑応答によって多くの示唆を得た。さらに、2018年1月~12月の3棟の給水温、受水槽周囲気温の計測結果については平成31年9月の日本建築学会大会で報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではおおむね順調に進展していると評価できる。その根拠は下記に示す3点である。 (1) 学内で3棟の給水温計測を計画し、BEMSによる安全・確実なデータ収集ができた。平成29年9月から平成31年3月に至る1年間以上の期間のデータを入手している。 (2) 水道水温の予測値を用いて、給水量を推定して計算を行い、もっとも比較がたやすい高置タンク方式の学内1棟において、実測値と計算値を比較して当初予定通りの±1℃以内の誤差で給水温を推定できた。 (3) これまでの成果を国内外で発表し、有意義な質疑ができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を用いて、平成31年度には日本建築学会、空気調和・衛生工学会の大会発表にて報告する予定である。また、英文ジャーナル投稿、平成31年9月の国際会議CIB-W062での成果公表を予定している。 冬季・夏季の水道水温が最低・最高となる時期を含む1年間にわたる実測値を得たことで計算精度向上にむけて、さらに検討を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校閲も含めて国際会議での発表を優先した。分担者を含めて今年度に無理に使用するよりは、次年度に必要な謝金や消耗品の購入にあてる予定である。
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