研究課題/領域番号 |
17K06689
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研究機関 | 日本大学短期大学部 |
研究代表者 |
星 和磨 日本大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (50373171)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カーディオイドマイクロホン / 吸音率 / 音響インピーダンス / 音圧 / 粒子速度 / 現場測定 |
研究実績の概要 |
本研究は,カーディオイドマイクロホンを同位置に180度対向させて設置する(C-C法)を基に,安価で堅牢なセンサによる吸音率の現場測定方法を確立を目指している。 平成29年度は,2本のカーディオイドマイクロホンはある大きさを有しているため,物理的に同位置には設置できないといった物理的制約,2本のマイクロホンの感度差,2本マイクロホンの設置高さや,なす角度,ねじれなどのカーディオイドマイクロホン設置の精度,といった誤差要因が考えられるが,これらが測定結果に及ぼす影響をコンピュータによる数値実験によりパラメトリックに調べた。その結果,2本のカーディオイドマイクロホンの設置精度や物理的制約よりも,2本のカーディオイドマイクロホンの感度差が最も測定結果に影響を及ぼすことがわかった。 また,全(無)指向性のマイクロホンを2本を用いる方法と,全(無)指向性マイクロホン1本と粒子速度センサを用いる方法と比較する実験を行った。その際,現場測定方法としてEA(Ensemble Average)法を用いた。測定した材料は,グラスウールの他に,ポリエステル不織布,ニードルフェルトである。さらにグラスウールやポリエステル不織布は積層させたものもを計測した。その結果,全(無)指向性マイクロホンを2本用いる方法よりも,高音域まで測定できることがわかった。また,全(無)指向性マイクロホン1本と粒子速度センサを用いる方法と近似した吸音率を得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,測定誤差の要因を理論的に探ることを主眼に置き数値実験を実施した。その結果,主たる原因が2本のカーディオイドマイクロホンの感度差であることがわかった。また測定で考えられる他の誤差要因は,測定に大きな影響を及ぼさないこともわかったので,今後は感度差を補正するために,2本のカーディオイドの校正方法を確立することに注力したい。 さらに,現段階で校正方法は確立されていないが,他の手法と比較する実験を行った。その結果2本のカーディオイドマイクロホンを利用した方法に十分な可能性があることを掴んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2本のカーディオイドマイクロホンの特性を揃えることで,測定精度の向上が期待される。しかし,あらゆるカーディオイドマイクロホンで測定を可能にするためには,2本のカーディオイドマイクロホンを用いて,音圧と粒子速度の絶対値を捉えられるかをしっかりと証明する必要がある。そこで今後は,無響室もしくは音響管による測定を通じて,2本のカーディオイドマイクロホンの校正方法だけではなく,音圧と粒子速度の絶対値の計測方法の確立にも注力していく。音響管は所有していないため,大分大学大鶴徹教授,富来礼次准教授の指導を仰ぎ,研究実施者が自ら制作を試みる。
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