研究課題/領域番号 |
17K06690
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
平光 厚雄 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 室長 (30414965)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CLT / 重量床衝撃音 / 予測計算 |
研究実績の概要 |
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行により、木材の利用が推進され、木造建築物が増加することが予想されている。また、国内産木材を効果的に利用するための施策として、新たな建材のCLT(Cross Laminated Timber、直行集成板)の普及が進められている。CLTはJASに規格化されるとともに、建築基準法などの基準類の整備も行われている。しかしながら、コンクリート構造建築物に比べ、木造建築物の重量床衝撃音遮断性能は低くなっており、性能向上が求められている。また、木造建築物の重量床衝撃音レベルを事前に予測計算する手法は殆どなく、予測計算手法の開発が望まれている。本研究では、CLT構造建築物の重量床衝撃音レベルの新たな予測計算方法を開発するとともに、性能向上の手法等を提示することを目的とする。 今年度は、床衝撃音遮断性能に大きな影響を与える、CLTパネル床上部に施工される床仕上げ構造の影響の実験的検討を行った。つくばCLT実験棟において、断面仕様を変化させた乾式二重床構造を施工し、その影響(床衝撃音レベル低減量)を測定した。その結果、防振ゴムのないプラ束支持では、重量床衝撃音遮断性能は悪化するが、防振ゴム付の乾式二重床構造では、重量および軽量床衝撃音に効果があることあり、表面仕上げ材の面密度も性能変化に大きく影響を与えることを明らかにした。また、過去の検討した床衝撃音レベル低減量との比較を行い、建物の異なっても床衝撃音レベル低減量の周波数特性等は殆ど同様であることを明らかにした。これまでの結果については、学会発表等での情報発信、情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①基本インピーダンス、床スラブ内の振動減衰補正量、床仕上げ構造や天井構造の床衝撃音レベル低減量等を把握し、重量床衝撃音レベル予測計算手法の開発、②現場測定によるCLT構造建築物の床衝撃音遮断性能の測定および測定データの収集による床断面仕様と性能別のデータベースの整備を主目的としている。 当初の目標通り、CLTパネルの振動特性の把握し、床上に施工される乾式二重床構造が床衝撃音遮断性能に与える影響について把握することができた。また、実建物(実験棟)での床衝撃音遮断性能の実測を行った。
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今後の研究の推進方策 |
CLT建築物の床断面仕様について、床衝撃音遮断性能に影響を与える部材として、天井に着目し、天井仕様を変更させ、床衝撃音遮断性能の実測を行う。具体的には、天井の吊り方(直張天井、防振支持など)や天井ボードの枚数を変更させる予定である。更には、床衝撃音遮断性能を大きく向上させる床仕上げ構造として、湿式浮き床による性能向上についても実験的検討を行う。最終的には、これまで得られたデータから床衝撃音遮断性能の予測計算式を検討する。
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