「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行により、木材の利用が推進され、木造建築物が増加することが予想されている。また、国内産木材を効果的に利用するための施策として、新たな建材のCLT(Cross Laminated Timber、直行集成板)の普及が進められている。CLTはJAS(Japanese Agricultural Standards、日本農林規格)に建材として規格化されるとともに、建築基準法などにおける基準類の整備も行われている。しかしながら、コンクリート構造建築物等に比べ、木造建築物は軽量であり剛性が低いことから、重量床衝撃音遮断性能は低くなるため、その性能向上が求められている。また、木造建築物の重量床衝撃音レベルを事前に予測計算する手法は殆どなく、予測計算手法の開発が望まれている。本研究では、CLTパネル工法建築物の重量床衝撃音レベルの新たな予測計算方法を開発するとともに、性能向上の手法等を提示することを目的とする。 今年度は、床衝撃音遮断性能に大きな影響を与える、受音室の天井構造の影響の実験的検討を行った。つくばCLT実験棟において、断面仕様等を変化させた天井構造3種類(直張天井、独立天井、天井根太防振支持独立天井)を施工し、その影響を測定した。さらには、それぞれの仕様に対し、吸音材(24K、50mm厚グラスウール)の有無についても測定を実施した。その結果、天井施工および天井仕様変化による床衝撃音遮断性能の向上はほとんどみられないこと、乾式二重床構造は、重量および軽量床衝撃音遮断性能向上に有効な床仕上げ構造であることを明らかにした。この要因として、天井構造において、マス(ボード、吸音材 等)-ばね(空気層)系が形成されるが、せっこうボード+吸音材のマスにより、共振周波数が低域にシフトした可能性が考えられた。
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