岩手県の2市町を事例として、防災集団移転促進事業および漁業集落防災機能強化事業による移転先住宅地について、計画変更の実態と変更理由を調査した。行政へのデータ収集およびヒアリング調査を行った結果、住民意向調査を受けて当初計画から大きく変更しており、国道から離れた地区ほど計画変化が大きいが、丁寧な意向調査を行うことで空き区画を減らせることが明らかになった。また、住宅地の規模が大きくなると戸数の変化も大きくなるが、丁寧な説明とお願いをすることで、対処できることが明らかになった。 また、盛岡市の取り組みを事例として、内陸自治体に求められる役割と課題として次の点を明らかにした。復興支援センターを開設し、その運営を他団体に委託することで行政として取り組むべき業務に専念することができたことが重要であることが明らかになった。また、派遣された職員の業務内容から単年度業務が多くて継続性に課題が見られるものの、初期に専門職が派遣されると継続的に関わっていることが明らかになった。さらに、派遣された職員意見を分析した結果、経年で専門職の派遣が求められており、大規模な基盤整備の求められる復旧・復興の現場では専門職の派遣が重要で、引継を可能とする複数派遣のしくみが必要であることがわかった。 加えて、福島県いわき市を事例に原発避難者とその受け入れ先住民の交流の実態を調査、分析し、対立の解消へ向けての課題、今後の原発避難者受け入れ先地域におけるコミュニティのあり方について検討した。 原発避難者と受け入れ先住民間の対立解消へ向けての課題としては、相互理解に積極的な住民が限られていることが挙げられた。
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