研究課題/領域番号 |
17K06698
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
棒田 恵 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80736314)
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研究分担者 |
西村 伸也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50180641)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 天井(中庭) / 庁(客庁) / 中国福建省 / ミン南住居 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年、伝統的な住居を保存して活用しようとする動きが高まってきている中国において、伝統的な住居の形態や装飾だけではなく、空間構成と住まい方にも配慮し、地域の風土、住文化と密接に関わった持続的な住環境形成手法を開発することを目的としている。 中国福建省南部(ミン南地方)のミン南型四合院住宅を調査対象として、家族の単位であり近代化の影響を受ける「炊事空間」とミン南地方の特徴的な空間である「天井」を分析の軸に、ミン南型四合院住宅の空間構成と住まい方の相互依存的な関係性から、伝統的な住居に住み続けられる近代的住環境への移行手法の開発を目指し、本研究が企図された。 中国福建省ショウ州市近郊の集落を対象として、農村住居の空間構成、住まい方の実態を調査した。2018年度の調査は、日本から新潟大学の教員2名、中国から華僑大学の教員・研究者の1名、華僑大学の学生5名の合計8名の調査チームを編成した。聞き取り調査、住居の実測、写真記録によって、伝統的な住空間と新築住居の空間構成と住まい方の変容を捉えた。 2018年度の調査では、ショウ州市の集落を対象として、明・新時代の福建省ミン南住居の四合院形式と一列形式の住居、1980年以降に建設された三合院形式の住居を調査した。特に庁と房のある母屋と天井との間にある走廊に着目して分析を行った。伝統的な住居では、庁・房と天井をつなぐ開放的な走廊であったが、新築住居では庁前の屋外の公的空間、炊事・食事といった内部の私的空間となり、かたちを変えながら継承されていることを捉えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は、12月上旬から中旬にかけて、ショウ州市の集落の住居について、8名の参加者を得て無事実施された。2018年度は、ミン南地方の伝統的な住居の空間構成の特徴、空間機能の変容、母屋と天井の間にある走廊の特徴的な使われ方が捉えられた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2018年度調査したショウ州市の集落を対象として調査を実施する。伝統的な四合院形式と一列型住居と1980年以降に建設された三合院形式の住居を対象として、これまでの調査住居への追加ヒアリングを実施すると共に、新たな調査住居を慎重に選定し、10月から12月にかけて調査を実施することとなった。調査時期は、研究分担者と研究協力者と検討の上、決定した。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、調査実施、実測住居のデータ化、国内外の学会での発表を実施したが、当初想定していた支出を節約できたため、次年度に使用することとした。 2019年度は、新規の住居調査、実測済み住居への追加調査、それらの実測住居のデータ化、学会での資料収集、研究協力者との打合せなど、調査旅費・謝金に使用する予定である。
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