研究課題/領域番号 |
17K06702
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
古阪 秀三 立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (60109030)
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研究分担者 |
金多 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (10301243)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 建設事故 / プロジェクトマネジメント / 国際比較 / 日本:中国:韓国:台湾:英国:米国:星国 / 建設産業 / 建築プロジェクト / 参入障壁と進出障壁 / 失敗例 |
研究実績の概要 |
2018年度の知見は以下の通り。 昨年度の失敗事例の検証から、喫緊の課題として「日本の建設活動の参入障壁と進出障壁の構造分析」が顕在化した。そして、2018年度の国際会議の主たる課題を「各国における建設活動の参入障壁と進出障壁」とした。その会議の各国の発表において、参入障壁と進出障壁は大きく分類して(1)商習慣、(2)文化・言語、(3)政府方針・法制度、(4)市場環境の面での障壁が指摘された。 この4分類に沿って、日本の建築生産システムに関する参入と進出の阻害要因をまとめると以下の3つの知見を得た。(1)建築生産システムにおける法制度と職能性、Common lowと「村のおきて」、慣習/伝統等について。(2)発注者、PM/CM、設計者、監理者、元請、専門工事業者等々の制度的完成度、契約観念/コンテンジェンシー意識の有無など。(3)他国に学ぶ知恵の多寡。 さらに、2008年から始めた『日中韓台の建設産業における法制度と品質確保のしくみに関する比較研究』、2012年からは『日中韓台英米星の発注・契約方式と品質確保のしくみに関する国際比較』となり、国と地域を増やし、延べ13回の品質確保のしくみの比較研究をするに至った。そのなかで、最もわかり易く、かつ比較可能な各国の法制度と品質確保のしくみの比較検討方法も鉄筋ならびに鉄骨工事の具体例で検証できた。そして、これらの比較研究を繰り返す中で得た日本の建築生産システムにおける品質確保に関する特徴と課題も確認できた。 ここに存在する本質的な問題は、「信頼があっての契約」を旨とする日本あるいは東南アジアと「契約があっての信頼」を旨とする欧米の、建築プロジェクト推進ならびにその組織編成と役割分担の在り方にあり、とりわけ、日本が海外市場を東南アジアに重きを置くとすれば、それらを承知したうえでのプロジェクトのマネジメントに取り組まなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究対象国すべてが参加した国際会議において、各国の建築プロジェクトにおける参入障壁と進出障壁の発表と議論が展開され、それらが共有できた。また、研究実績に記述した多くの知見を得た。 2.さらに、本研究に参加する組織/団体、個人を選定することができ、また、関心の強い課題も確認でき、次年度に開催予定の国際会議の主たるテーマ、登壇者等の見通しも立った。
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今後の研究の推進方策 |
1.次年度も国際会議を日本で開催し、研究対象地域を東南アジアに集中し、より実質的な議論を行い、失敗要因のみならず、各国間での参入障壁と進出障壁を明らかにすることにした。 2.さらに、会議参加者の拡大を図り、公的機関、建設産業団体、設計団体等からの参加を促し、一方で、研究成果を一般に公開しつつ、さらなる研究ならびにその実践活動の促進を図ることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に使用予定のところが、気象条件等により、当初予定した学術調査等を実施できなかったため。
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