本研究において、ノースウィッチウッドランズに加え、同様の事例を有するセントへレンズについても調査を行い、比較検討を行った。結果から、上記2事例は、旧産業景観の形成において、環境再生により行われ、自然保護を行うための指定地域やグリーンベルトを指定している点において共通する。いずれの事例においても、当該自治体をはじめとして地元の産業や企業、地域団体、マージーフォレストや国の機関である林野委員会などとともにパートナーシップによる環境再生と維持管理に関する取り組みが行われていることが明らかとなった。特に地域団体においては、公園緑地におけるイベントの企画実施や維持管理への参加や支援を行うなど、地域づくりにもつながる取り組みが行われていることもわかった。また、パートナーシップによる多様な参加者による協働の取り組みが様々な活動へとつながり、新たな文化や価値の創造につながる可能性があることが伺える。 英国北西部において環境再生に取り組む地域団体であるマージーフォレストをはじめとするパートナーシップは、1991年の設立当初は地域の緑化が中心であったが、現在は新たに創造した公園緑地の維持管理が中心の取り組みへと移行している。このことは財源からも明らかであり、以前は協力団体である政府機関からの補助金をもとにしていたが、現在では9割近くを協力団体とともに申請した補助金をもとに運営している。マージーフォレストにおいては様々な取り組みを行うため、協力団体とともに様々な補助金に申請し、パートナーシップを強化していることが伺える。設立から20年以上が経過した現在、マージーフォレストによるコミュニティフォレストの取り組みが土地所有者や協力団体とともに進められてきたことが明らかとなった。以上のことから、マージーフォレストは、政府機関により設立された団体から地域により支えられる団体へと進化したといえる。
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