研究課題
今年度の研究は、市街化予測モデルの改良、農地の調整サービス指標、居住環境指標、復旧コストに関する指標を作成し、最適な土地利用配置を導出することである。これを実現するために、市街化要因の決定木分析(研究1)、流域別の土地利用評価(研究2)、災害激甚化に伴う災害リスクの評価(研究3)を行った。(研究1)では、徳島市を対象に2時点の住宅位置の変化を目的変数とした。説明変数は、居住利便性、交通利便性、地形、居住者属性、用途地域とし、区域区分ごとの決定木を作成した。分析の結果、市街化区域では徳島駅、病院、幹線道路からの距離、空地率が、調整区域では買い物施設、徳島駅、病院からの距離が影響していた。(研究2)では、徳島都市圏を対象に流域別の洪水リスクを評価した。豪雨時の流出量と河川流量の比に人口密度を掛けた値を洪水リスク評価値とした。流出量は合理式法、河川流量はマニング式で求めた。その結果、対象地域の西部や阿南市那賀川北部等で高いリスク評価値となった。(研究3)は、徳島都市圏を対象に、災害激甚化に起因する津波、洪水、土砂災害のリスク評価を行った。激甚化後の津波、洪水リスクは、人口が集積する市街地の大半で高い値となった。当初、今年度利用する予定であった復旧コストは、原単位のばらつきが大きく、地域間の比較に難があったため、土地利用の指標は、農地の調整サービスが反映された指標(研究2)、市街化要因による居住環境指標(研究1)とした。今年度の研究より、土地利用配置の導出までは行き着かなかったが、最適な土地利用の方向性として(1)病院や買い物施設など生活施設をコンパクトにまとめ分散的な市街化を抑制、(2)特に郊外部の農地や緑地の転用を最小限にすることで洪水リスクを低減、(3)今後の災害激甚化に対応するには、土地利用規制に加え建築物の防災性能向上、避難環境の整備も同時に進めることが示された。
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Proceedings of the 2019 International Conference on Climate Change, Disaster Management, and Environmental Sustainability
巻: - ページ: 573-578