研究課題/領域番号 |
17K06713
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小山 雄資 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80529826)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 住宅政策 / 公営住宅 / 民間賃貸住宅 / 名瀬 / 織工アパート |
研究実績の概要 |
2021年度は昨年度までの調査結果をふまえ、研究成果のとりまとめにむけて必要となる補足調査について検討し、その一部を実施した。 これまでの調査で、奄美市名瀬の市街地に点在する大島紬の織工アパート群を近現代の産業遺産としての住宅ストックの一例に位置づけ、これらが紬生産の隆盛を背景に形成された経緯を明らかにした。織工アパートの建築的特性に関しては、建設時の公的融資の活用実態および当時の市街地の状況を参照しつつ、建設背景や立地を中心に考察した。事例分析にとどまるものの、建物の所有者や居住者への聞き取りを通じて現況を把握している。また、住宅・土地統計調査の集計データを用いて、奄美市全体の住宅ストックの観点から織工アパートに相当する「民営借家(非木造)」を「公営の借家」と比較し、織工アパートが住宅政策の対象となる可能性を検討するための基礎的知見を整理した。 今年度は市職員OBへの聞き取り調査を通じて、これまでの分析および考察の内容について多角的な検討を加え、名瀬の市街地に特有の住宅事情の歴史的な経緯を再整理した。他方で、奄美市の住生活基本計画の策定過程に参画することを通じて、現代の住宅事情および住生活上の課題の一端を把握した。また、これまで十分に遂行できていなかった居住福祉の観点からの分析として、住宅・土地統計調査の集計データの分析に着手した。高齢者世帯や低収入世帯について分析したところ、公営の借家と民営借家ともに高齢夫婦世帯および65歳以上の世帯員のいる世帯でかつ収入300万円未満の世帯の数は、ほぼ同規模(1,000世帯前後)であった。さらに、300万円未満の世帯が占める割合は他の家族類型に比べると高く、90%前後であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
織工アパートを対象に住宅ストックの「再社会化」について考察するための前提条件は明らかになりつつある。 ただ、当初計画していた居住福祉(居住者)の観点からの分析・考察が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本研究の主要テーマである住宅ストックの「再社会化」にむけた課題について、奄美市名瀬の織工アパートを事例として検討し、研究成果をとりまとめる。住宅ストックの「再社会化」を検討するにあたっては、現代の住宅事情と課題を考慮することが欠かせない。名瀬の市街地では「居住支援」の具体化が住宅政策上の課題となっている。織工アパートを通じて、民間の賃貸住宅と公営住宅とを横断的に対象とする枠組みを想定し、研究のとりまとめをおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費を予定よりも支出しなかったため。次年度は、持ち越しの作業課題である居住者層の分析のために、総務省が提供する統計ミクロデータの利用に支出することを検討する。
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