本研究では、地場産業が近代化する過程で形成された住宅群として、奄美大島・名瀬の市街地で大島紬の織工向けに多数建設され現存する「織工アパート」に着目し、その建設経緯と現状を明らかにした上で、今後の建物活用にむけた知見を得た。まず、不動産登記情報を収集し、建設時に公的な住宅建設融資を受けていたことを明らかにし、織工アパートが政策的な支援を通じて形成された住宅であることを示した。次に、住戸面積や家賃水準、立地の観点から民間賃貸住宅や公営住宅と比較し、織工アパートは立地の面で公営住宅を補完していることを明らかにした。また、アパート所有者を対象とした調査を通じて、居住と管理の状況を明らかにした。
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