研究代表者は、平成27年度から6年間行政の普天間飛行場跡地利用計画に有識者として関与してきた。宜野湾市にはA-Eの5流域があり、流域内に普天間(480ha)、西普天間住宅地区(50.8ha)、大山土地区画整理事業(49ha)の3つ大規模開発の計画がある。普天間飛行場は高い透水性を有する琉球石灰岩台地上にあり、また、基地内土地利用の7割が自然的土地利用で被覆されている事から、旺盛に雨水を地下へ浸透させている。そのため、返還がなされていない現在は、海岸段丘下の西普天間住宅地区内や大山地区で湧水群として流出している。しかし、返還開発後は基地内の土地が市街化によりアスファルト等で被覆されるため、雨水の地下浸透量が減り、結果として湧水量が減少する事が懸念されていた。しかし環境影響評価等では、通常の測定法を用いた予測が困難であることから、予測精度が担保されてこなかった。そこで、申請者は研究室学生とともに独自の調査でこれらの影響について予測し、水収支を考慮した流域圏での土地利用計画のあり方について提言しながら実践的に研究を展開してきた。これまで、普天間飛行場跡地利用計画、西普天間住宅地区、大山土地区画整理事業地区の開発に対して、沖縄県(企画調整部跡地利用班)・宜野湾市(まち未来課・観光農水課・市街地整備課・都市計画課)・地主会・市民の会に研究の調査結果を提供する形で関わり、水循環の面から緑地量をどの程度にすべきかなどの土地利用上の配慮事項について相互調整を行えるよう計画策定支援を行ってきた。 本研究は研究成果を還元する形で、実際の大規模基地跡地利用計画の中での持続可能性を水循環の観点から整理し提言をしているアクションリサーチであり、社会的貢献が高くまた学術的には従来の調査方法でできない事を解明したことが成果である。
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