研究課題/領域番号 |
17K06719
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
福田 展淳 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00267478)
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研究分担者 |
高 偉俊 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (20288004)
牛房 義明 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (90343433)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スマートコミュニティ / 省エネルギー / ライフスタイル / 住宅 / 調査 |
研究実績の概要 |
本年度では、ゼロカーボン技術を導入した住宅を対象に住宅属性、世帯、環境意識等に関するアンケート調査及び年間の電力データを分析し、住宅のエネルギー消費の実態を明らかにすること、ゼロカーボン技術の自立性を評価し、調査結果を居住者に還元することで今後の節電・省エネ生活の改善に役立ててもらうことを目的とした。北九州市ゼロカーボン先進街区において、ゼロカーボン技術を導入している住宅を対象に、家族構成や導入設備、環境意識等のアンケート調査及びHEMSによるデータを収集した。収集されたデータをもとに消費電力を分析し、対象住宅の電力利用について考察し、調査期間の電力利用状況から、ゼロカーボンの達成率・コスト収支を算出し評価した。本研究におけるゼロカーボン達成率は、太陽光発電設備を導入していない同量の電力使用の場合のCO2排出量とゼロカーボン技術を導入している場合のCO2排出量とを比較して算出する。また、アンケート結果を含め、今後のゼロカーボン技術について考察した。 今回の調査研究の結果、以下の知見が得られた。 住民の環境に対する意識はそこまで高くないことがアンケート結果から分かる。自治体と住民がより密接に関わることで地域一体となり、より暮らしに関するCO2排出量の大幅な削減が目指せると考える。また、ゼロカーボン技術を導入した場合ゼロカーボン達成率が170%を上回り、CO2排出量の削減に大きく貢献していることが分かった。コスト収支に関しては、現在の電気料金・ガス料金であれば年間で約17.3万円の利益を得ることが分かった。しかしながら、冬季においては、電力及び熱の需要が多くなることで燃料電池の使用量が多くなる。燃料電池の発電により電力が供給されるがその分ガス料金が増え、収入を得ることが出来ず改善の必要がある。またそれらの結果は協力世帯に説明し、継続して節電、省エネアドバイスを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間中、電気使用量を継続して計測し、その分析結果を住民に情報提供し、節電、省エネ効果を検証している。また、エネルギーモニターシステムをオール電化世帯の家電製品だけでなくIH クッキングヒーター、電気給湯器の電力使用状況まで計測した上で、生活パターン、ライフスタイルの分析を行う点である。また分析結果のみを住民に提供する場合と節電、省エネのアドバイスを行う場合で節電、省エネ効果にどれだけ差があるかを統計的な手法を用いて検証する点である。本研究の意義としては、省エネ製品購入によるエネルギー削減だけなく、スマートな家電製品の利用方法を普及させるための基礎的な研究になると思われる。 本年度から本研究を実現するためにエネルギー消費の実測に協力して頂く住民の募集、実測を実施し、必要なエネルギーモニターデータを収集することができた。収集されたデータを分析して、知見を得ることができた。それらの分析結果を参加世帯に説明し、節電や省エネアドバイスを行っている。予定通りで実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では北九州における低炭素技術等を導入している先進的な住宅の電力消費量を個々の家電製品レベルから計測し、住民のライフスタイルや生活パターンを明らかにすることを目的としている。既往の研究では住宅における太陽光発電導システム或いはエネファーム導入効果を検証するものが多数ありますが、それらのシステムと住民のライフスタイル等の実証データを用いる研究は少ない。まずは先進街区に住む世帯の全貌を把握するために、2019年3月世帯を対象にアンケートを実施した。各世帯の家族属性、設備属性、環境意識、システム利用頻度などを明らかにするために、その分析を継続する予定である。また、該当街区にある太陽光発電システムとエネファームを導入した住宅を対象として、その設備性能、稼働状況や電力需要を把握し、各時期のパターンの特徴を明らかにするため、住宅間の比較を行う。そして、実測データに基づいて、固定価格買取制度により高い価格で電気を買い取りされた後の経済効果、コスト回収期間について検証する。さらに、設備性能より環境効果を評価していく。 最終年度では、すべての成果をまとめ、収集されたデータを分析し、その結果を参加住民に還元することで、節電、省エネ行動を促すことが可能かどうかを明らかにする。このような電力消費に関する詳細な実測、分析、住民への情報提供、省エネルギーアドバイスという一連の過程が家庭部門における節電、省エネルギー政策にどれだけ有効な方策かどうかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに実行しており、謝礼等の支出を押さえているが、次年度に活用したいと思う。
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