研究実績の概要 |
東日本大震災並びにその後の原発事故(3.11)の影響によって、福島県内に建設された応急仮設住宅(仮設住宅)16,800戸に関する福島県庁・被災自治体等からのマクロな統計データ収集やヒアリング調査を通して、2017年末~2018年初頭における、それらの状況を把握した。2018年1月末時点では、3,074戸が撤去・13,726戸が現存しており、そのうち入居している2,252戸において3,865人の方が仮設住宅での避難生活を送っている状況であった。また、特に、研究代表者・研究協力者が建設にかかった丸太組(ログハウス)工法の仮設住宅に住民の一部が避難している、南相馬市・浪江町・大熊町・飯館村を中心に、仮設住宅団地ごとの入居率・空き家数と合わせて撤去・集約化の実態について時系列で詳細に把握した。例えば、仮設住宅の閉鎖の主な理由は、入居者の自然減だけでなく、立地自治体からの土地返還要請などもあることや、解体が動き出してから終了までに約1年(設計6ヶ月と解体6ヶ月)の時間を要することから、自治体の職員は、解体終了の1年前から入居者への調整を行うのが一般的な流れであること、などである。 また、3.11後に福島県内に建設された仮設住宅のうち、福島県による買取りで整備した13,408戸(プレハブ協会住宅部会6,589戸・地元公募6,819戸)が、供与期間終了後の再利用の対象とされたが、その内、2017年末時点で実際に再利用が行われた木造仮設住宅の事例については、先ず、無償譲渡か解体入札後の再利用か否かなど実行された制度にはじまり、再利用前後の現地調査や関係者へのヒアリングを通して、その実態を把握した。
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