研究実績の概要 |
東日本大震災並びにその後の原発事故(3.11)の影響によって、福島県内に建設された応急仮設住宅(仮設住宅)16,800戸に関する福島県庁・被災自治体等からのマクロな統計データ収集やヒアリング調査を通して、3.11直後から2019年末までにおける状況を把握した。特に、研究代表者・研究協力者が建設に関わった丸太組(ログハウス)工法の仮設住宅に住民の一部が避難している、南相馬市・浪江町・大熊町・飯館村を中心に、仮設住宅団地ごとの入居率・空き家数と合わせて撤去・集約化の実態について時系列で詳細に把握した。 また、仮設住宅16,800戸のうち、福島県による買取り方式で整備した13,408戸(プレハブ協会住宅部会6,589戸・地元公募6,819戸)が、供与期間終了後の再利用の対象とされたが、その内、2019年末時点で実際に再利用が行われた木造仮設住宅の事例については、先ず、無償譲与か解体入札後の再利用か否かなど実行された制度にはじまり、再利用前後の現地調査や関係者へのヒアリングを通して、その実態を詳細に把握した。特に、木造仮設住宅の再利用に関しては、丸太組(ログハウス)工法の仮設住宅が事例数としても多いことから、それらを中心に詳細を把握した。なお、丸太組工法以外にも、戸数として多い板倉構法など他の工法で建設された木造仮設住宅の再利用についても実態を把握した。以上を通して、福島県で取り組んで来た3.11後の仮設住宅の再利用制度の特徴や、移設再利用の現状と課題を整理することができた。例えば、全体的に再利用率は高いとは言えないが、福島県の仮設住宅の再利用の取り組みは、仮設建築から住宅のみならず多様な一般建築への移行といった成果を出せていることなどである。これら一連の調査・研究を通して、被災後の住まいの再建の手法も含めて、今後の仮設住宅の在り方も考察できたものと考える。
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