研究実績の概要 |
本研究の最終年度である2019年度は、2カ年目の追調査を行い、関西圏・関東圏でのデータ比較を主たる成果としてあげた。 高齢者の遠隔地介護・介助にかかる首都圏と関西圏の地域間差異について見ると、「日常的に利用したい移動手段」において顕著な差異が看取され、首都圏では自動車利用が34.5[%]、公共交通機関利用が27.3[%]と拮抗を現示しているのに対し、関西圏では自動車利用のみが全体比66.7[%]と多かった。これは首都圏の鉄道・バスの整備路線数多さや、関西圏での自家用車利用を必須とした生活様式が寄与していると思われる。また単身住まいの親元を定期訪問する際の、理想とする移動時間・費用に関しては、移動費用では首都圏の方が高い許容費用を回答する傾向が見られたが、特に「1ヵ月毎」では首都圏・関西圏の順で平均4178.0[円]・3109.1[円]、「2ヵ月毎」では同じく5422.4[円]・3870.4[円]と大差が見られた。 また許容費用として10,000円以上の回答者が首都圏では全訪問頻度で見られるのに対し、関西圏では1か月毎と2か月毎で少数で、更に両圏域の比較をみると、首都圏では子と同居を希望する割合が低い。また介護を頼む相手として高齢者施設やグループホーム、訪問デイケア等を含む「事業者」を選択するのが多い首都圏と、配偶者または事業者を望む人が多い関西圏といった明示的な差異が見られた。一方、両圏域とも友人・知人より子との近居を望む回答が多く、圏域を問わず被介護者は子が近居である事を理想としていると思われる。地域間差異を高齢者テレ・ナーシングモデルから比較すると、両者はそれぞれ多項近似式At(x)及びAk(x)から説明され、双方の変曲点を小数点以下四捨五入にて首都圏でy=52,129、関西圏でy=59,726を来し、片道移動時間において7分、片道移動費用において565円の差が生じた。
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