研究課題/領域番号 |
17K06735
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
田中 みさ子 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (30340615)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 防災 / 密集市街地 / 住意識 / 狭小住宅 / 空家化 |
研究実績の概要 |
近年木造の3階建建築物に関する規制が緩和され、木造3階建住宅の普及が進んでいるが住宅に関しては狭小な敷地に建設されるいわゆるミニ開発の住宅が多く含まれており、文化住宅や長屋と同様に今後密集市街地を形成して防災や居住性の面で問題視されたり、少子高齢化により空家化することが懸念される。 本申請者は2006年に3階建住宅居住者に対する意識調査を実施し、若年層には評価されているものの、高齢者には3階の部屋を利用しにくく評価が低い結果を得た。本研究は、前回調査から10年以上を経過した3階建木造住宅の現状を把握し、空家化や密集市街地化やコミュニティ形成など今後の課題を明らかにするものである。 2020年度までに大東市内の3階建て住宅の分布の調査をおこなった結果、開発により集団立地している地域の現状を明らかになった。この集団立地地区はひとまとまりが10戸以上の住宅開発が複数行われることで50戸以上の3階建て住宅が集中している地区となっている。また、住宅広告の収集を行った結果、2階建て住宅と比較すると敷地面積が50㎡前後の狭小敷地が多いことがあきらかになった。建設省建築研究所による阪神淡路大震災の被害の分析によれば、1棟あたりの平均宅地面積と火災規模に関連があり、面積が100㎡を下回る地区での火災規模の増大との関連性が指摘されている。木造住宅が建て詰まっている状態となっている3階建て住宅が多く立地している地域は2階建て住宅が立地している地域よりも防火性能に課題があることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度末に不動産流通事業者のインタビュー調査を実施する予定であったが、コロナ感染拡大によりインタビュー調査が現在に至るまで実施できていない。また、2020年度に分布調査で立地状況が明らかになった3階建木造一戸建住宅の居住者に対する意識調査をおこなう予定であったが、アンケート票の戸別配布郵送回収のための調査員の確保がコロナ感染拡大により困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染拡大の終息状況を見据えて順次、不動産流通事業者のインタビュー調査及び居住者に対する意識調査を実施する予定である。 不動産流通事業者のインタビュー調査については、アンケート調査に変更する可能性もあるが、アンケートの回収率が悪いことが予想されるため、できればインタビューで詳しく話を聞きたいと考えている。しかし今後の感染状況によってはアンケート調査に切り替える。 アンケート調査については、調査票の設計が終了しているが、調査日が設定できないと配布のための封入等の準備ができない。感染が下火となり次第調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた3階建て住宅居住者に対するアンケート調査がコロナ感染拡大により実施できていないため、次年度に調査を延期することになった。調査費用としてアンケート用紙の印刷費、封筒等文具代、郵送費、配布のための調査員雇用経費、結果の集計等の作業員経費が必要であり次年度使用額が発生する。
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