研究課題/領域番号 |
17K06737
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
川窪 広明 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (90290254)
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研究分担者 |
下田 元毅 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30595723)
宮崎 篤徳 関西大学, 付置研究所, 研究員 (60595726)
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
廣本 亮一 大手前大学, メディア・芸術学部, 非常勤講師 (20817605)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 尾鷲市 / NPO / 空き家バンク / 岬町 / 岩沼市 / 移住・定住 / 集団移転 / 移住パンフレット |
研究実績の概要 |
1.三重県尾鷲市においてNPO法人おわせ暮らしサポートセンターの設立を計画した。NPOの業務の第一は、定住、移住促進を目的とした空き家バンクの運営である。尾鷲市はいわば「漁村の連合体」あり、各集落のコミュニティが独自性を持っていることが特徴である。このような集落への移住、定住を促進させるためには、キーパーソン(区長、地域おこし協力隊員、空き家バンクを利用した移住者など)にNPOの会員となってもらい、NPOと住民とのインターフェイスとなってもらうことが必要であることを確認した。また、ドローンによる集落の撮影やフィールドワークによって集落構成や空き家の分布状況を調査し、地形模型や空き家マップを作成した。 2.大阪府泉南郡岬町における「空き家を活用した移住・生業創出」に関する調査・研究及びワークショップの開催を行った。調査・研究では、岬町深日地区における地域資源(民家・石垣・路地・井戸)の分布と特徴について把握を行った。また、地域資源を活用したワークショップを5回開催した。移住に興味のある都市部からの参加者と地域住民の参加者との交流の機会としても機能している。 3.東日本大震災の被災後に、集団移転を実現させた岩沼市玉浦西地区を取り上げ、移転に関わったキーパーソンに、組織の構成と役割、移転前後の活動の履歴、移転用地確保の経緯等をたずねた。大災害の時代における移住・定住の取り組みは、災害後の再起動の可能性を広げるため、災害前より戦略的に、集落群が課題を共有する場の構築を進めることの有効性が確認された。 4.大阪で開催された三重県の移住相談会に出席し、伊賀市、鳥羽市、熊野市の移住パンフレットを入手した。今後、これらのパンフレットのデザイン分析を行う予定である。 5.愛媛県佐田岬半島の集落における生活空間や祭祀空間の現地観察調査・ヒアリング、文献調査などの活動をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、課題名でもある「移住・定住の持続性を担保する中間組織の構築」については、尾鷲市では行政、地域おこし協力隊員、地元住民との話し合いを行った上で、NPOに必要な書類を作成し県に提出、平成30年度4月2日よりNPOを設立、活動開始が予定できるまで進捗した。また、フィールドワークを中心とした調査により、尾鷲市を構成する漁村集落の特徴を掴み、地形模型や空き家地図という形で可視化することができた。大阪府岬町においては、5回のワークショップ開催により、移住に興味のある都市部からの参加者と地元の参加者との交流が活性化した。これらのワークショップの継続的な開催と交流の延長上に、本科研の課題である地域組織の設立が見えてきた。東日本大震災被災地である岩沼市玉浦西地区においては、地元の「まちづくり検討委員会」と連携しながら、地域の文化的・環境的な資源の掘り起こしを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.尾鷲市においては、NPOの活動として①市街地の大型空き家のシェアオフィスとしての運営、②三木浦町の空き家を活用した短期移住体験住宅の運営を実施するとともに、空き家バンクの利用状況調査、移住者の移住後の生活状況調査などを実施する。 2.大阪府岬町においては、移住希望者や起業希望者が出てくる可能性が高いと考えられため、①既存の空き家の活用例、②活用(改修)にかかる費用概算(単価表)、③空き家バンク活用事例等の資料作成を行う予定である。上記①から③の資料が中間支援組織運営のマニュアルの一部となることを目的としている。 3.3.他の地域の漁村集落調査、特に生活空間の構成やスケール、空き家の数や破損状況を調査するとともに、地元のまちづくり組織や地域おこし協力隊員の活動状況の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査において公共交通機関による調査地への移動が非常に不便なため、分担者とともにレンタカーの相乗りによる移動を行った。また、調査地によっては宿泊施設がなく、持ち主の許可を得て空き家に宿泊した。そのため交通費、宿泊費が軽微と当初の予定より軽微であった。30年度の使用計画は、 1.尾鷲市、岬町を中心とした現地調査のための交通費、現地における活動費。(月1回のペース) 2.尾鷲市におけるワークショップに招聘する講師への謝金。 3.集落の構造を上空から撮影するためのドローンの購入。
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