研究課題/領域番号 |
17K06737
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
川窪 広明 大手前大学, メディア・芸術学部, 教授 (90290254)
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研究分担者 |
下田 元毅 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30595723)
宮崎 篤徳 関西大学, 先端科学技術推進機構, 非常勤研究員 (60595726)
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
廣本 亮一 大手前大学, メディア・芸術学部, 非常勤講師 (20817605)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NPO / 地域おこし協力隊 / 空き家バンク / 仕事バンク / 空き家再生 / 移住・定住 / ワークショップ / 株組織 |
研究実績の概要 |
1.2018年4月2日にNPO法人・おわせ暮らしサポートセンターを設立した。NPOの活動には、空き家バンクの運営による地元住民の空き家登録・移住者への住居情報提供の他、移住者の円滑かつ健全な定住の支援を目的とした各種生活基盤情報の提供がある。特に、地場産業の継業情報を移住者の求職情報として提供する仕事バンクは、尾鷲市への定住促進にとって、移住者の生活と地域の永続性を担保するものである。また、NPOのメンバーが、移住者と住民との調整役を果たす「移住後の生活支援」も定住を担保するサービスとして重要である。また三木浦町に移住体験住宅ソワレを開業した。 2.9月6日~7日、12月21日~22日、2月20日~22日の3回、尾鷲市朝日町にある土井見世邸において、建築を学ぶ大学生を中心とした空き家再生ワークショップを開催した。ワークショップでは、地元の左官、大工、水道業者が工事指導に当たった。 3.9月8日に漁村×学シンポジウムを開催した。今回は、「食べる魚と描く魚」というテーマで漫画家の倉田よしみ先生とうえやまとち先生を講師に招き、熊野古道センターで尾鷲で水揚げされる魚をマンガでどのように表現するかについて対談を行った。また9月10日には、九鬼町のコミュニティーセンターにおいてこどもマンガスクールを開催した。 4.大阪府岬町において旧多奈川旅館を「まちづくり交流館」として整備した。この整備事業は、移住や岬町のまちづくりの取り組みに関心ある参加者とDIYのワークショップ形式で行った。さらに、活用のポテンシャルある空き家に対し実測を行った。 5.日本定置網協会へのヒアリング及び文献調査から、三重県紀北町の島勝、大紀町の錦の大敷網株式会社及び区長から株組織の現状についてヒアリング調査を実施した。結果、当該集落において株組織は、解散し大敷網株式会社にその役割が移行していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.前年度より準備を進めてきた空き家バンク、仕事バンクを主な業務とするおわせ暮らしサポートセンターが、4月2日に三重県よりNPO法人として認可された。これは本研究の1である「尾鷲市における中間支援組織の構築」が概ね達成できたものと評価する。また本年度よりNPOの業務として、昭和6年に建築されたを床面積185坪の大型住宅をシェアスペースとして活用する事業が開始された。そのため、ここ10年来空き家となっていた大型住宅の改修を計画通り3回のワークショップ形式で行った。大阪府岬町においても、空き家実態調査及び平成29年度の地域資源調査の結果を踏まえて移住・生業に適した物件を特定し、元旅館をまちづくり交流館に改修する工事をワークショップ形式で行った。 2.尾鷲市街、尾鷲市早田町、梶賀町、三木里町、三木浦町へ空き家バンクを利用して移住した人に対し、入居までの経緯、住宅の修繕、仕事、近隣との交流などのついてヒアリングを行った。九鬼町、梶賀町では、地域おこし協力隊の任務を終了した人の現状、三木浦町、三木里町では、昨年より地域おこし協力隊として着任した人に任務についてヒアリングを行った。また、ヒアリング結果を元に、2019年3月に尾鷲市の移住パンフレットを発行した。 3.昨年度行った尾鷲市九鬼町の株組織と、本年度行った三重県紀北町の島勝,大紀町の錦の株組織の調査結果を整理した結果、①九鬼町のみが従来からの株組織の役割と形態が維持されていること,②既存の株組織と地域おこし協力隊などの新たな地域組織が連携しながら地域づくりを行っていることを解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
1.昨年同様、土井見世邸の改修をワークショップ形式で行うとともに、シェアスペースの具体的な運営方法をNPOメンバーとともに決定する。シェアスペースの利用者を募るとともに、学会や講演会、地域のイベントなどを行う集会場としての利用計画を立案する。 2.仕事バンクの企画として「おわせ留学」と名付けた市役所、地元企業・漁協とNPOが三位一体となって企画するインターンシップを実行し、移住促進の手段として、あるいは移住者の仕事を担保する手段としての有効性を検証する。 3.「漁村からさまざまな学問分野を考えてみよう」というコンセプトで立ち上げた漁村×学シンポジウムを開催する。また昨年度行われた漁村×学シンポジウムの議事録を小冊子として発行する。 4.移住フェアで各地の移住パンフレットを収集し、掲載されている情報やパンフレットのデザインの観点から尾鷲市のものと比較する。 5.大阪府岬町において、地域内外のメンバーによって構成されたまちづくり組織を遮断法人化する準備を行うとともに、前年度活用のポテンシャルある空き家として実測調査を行った西口家住宅の改修を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査において公共交通機関による調査地への移動が非常に不便なため、分担者とともにレンタカーの相乗りによる移動を行った、また、調査地よっては宿泊施設がなく、持ち主の許可を得て空き家に宿泊した。そのため交通費と宿泊費が当初の予定より軽微であった。2019年度の使用計画は、下記の通りである。 1.尾鷲市、岬町を中心とした現地調査のための交通費、現地における活動費 2.尾鷲市におけるワークショップに招聘する講師への謝金 3.研究成果をまとめる冊子の印刷費
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