研究課題/領域番号 |
17K06741
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研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
米野 史健 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (60302965)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 応急仮設住宅 / 入居者退去 / 住戸解消 / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
「近年災害・過去災害の事後調査」として、北海道南西沖地震、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、福岡県西方沖地震、能登半島地震等の過去災害に関する関連文献の収集等を行った。また、近年災害のうち台風12号水害(紀伊半島豪雨災害)で被害を受けた奈良県十津川村を訪問して、応急仮設住宅の供給から撤去に至る過程について情報収集を行った。 「対応が完了した東日本大震災被災市町村の直後調査」として、岩手県・宮城県を中心に各市町村における応急仮設住宅の退居状況に関する情報収集を行った。その上で、応急仮設住宅が全て解消された、宮城県の多賀城市及び亘理町に関する文献収集及びヒアリング調査を実施して、特定延長対象外世帯の退居支援と、特定延長対象世帯の退居対応、及び建設型の応急仮設住宅の撤去対応等に関して実態を把握した。 「対応実施中の東日本大震災被災市町村のリアルタイム情報把握」として、前記の通り岩手県・宮城県を中心に各市町村における応急仮設住宅の退居状況に関する情報収集を行うとともに、建設型の応急仮設住宅の解体撤去についても状況を把握した。また、借上型の応急仮設住宅(みなし仮設住宅)に関して、岩手県・宮城県での平成29年度前半の段階での退居状況に関する情報を入手した上で、入居時及び退居時における居住地移動の実態について集計分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「近年災害・過去災害の事後調査」では、過去災害を中心とした文献収集等により取組の実態が把握されてきている。 「対応が完了した東日本大震災被災市町村の直後調査」では、応急仮設住宅の解消が遅れている自治体も多く、調査対象の選定に若干苦労した部分はあるものの、応急仮設住宅が全て解消された2市町村のヒアリング調査が実施出来ている。 「対応実施中の東日本大震災被災市町村のリアルタイム情報把握」では、応急仮設住宅からの入居者の退居及び建物の撤去の状況について全体的な状況が把握出来ている。あわせて借上型の応急仮設住宅からの退居の実態に関する情報分析も実施出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
「近年災害・過去災害」に関しては、引き続き文献収集や関係者へのヒアリングを行って情報収集を行っていく。 「東日本大震災」に関しては、前記の通り、東日本大震災では応急仮設住宅の解消が遅れている自治体もみられており、入居者の退居及び建物の撤去の進捗状況を見ながら、全てが解消した時点を見計らっての調査を行っていく必要がある。 一方で応急仮設住宅が解消されたタイミングで、自治体内で直接担当する部署(被災者支援係など)がなくなり、担当者も別の部署に異動してしまう場合が多く、ヒアリング調査のアプローチが難しくなる部分もある。そのため、全ての応急仮設住宅が解消されるよりも前の段階で担当部署への訪問等を行っておき、調査対象者との関係をあらかじめ構築しておくことも必要と思われる。 同様に「熊本地震」等の直近の災害に関しても、早い段階で情報収集や現地視察・訪問を行っておくことが必要とも思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
東日本大震災において応急仮設住宅の解消は総じて遅れており、入居者が全て退居して建設型の撤去が完全に完了した自治体が少なかったことから、「対応が完了した東日本大震災被災市町村の直後調査」が十分に行えなかったため、次年度使用額が生じる結果となった。 この分については、応急仮設住宅の解消の進捗状況を引き続き把握しつつ、全て解消した自治体を対象とした調査を来年度に実施するために使用する計画である。
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