今年度は、所属機関の在外研究員制度により英国リヴァプール大学建築学部へ4ヶ月間(平成29年6月から9月)滞在することができた。このため、予定していた国内資料調査の計画を変更し、海外の資料調査、海外の研究者との情報交換、論文の執筆に重点を置いた。具体的な実績は以下の通りである。 (1)英国王立建築家協会図書館において英文雑誌を閲覧し、作品紹介、回顧録など、19世紀の東アジアで活躍した欧米人建築技術者についての記事を収集した。また、ロンドン大学SOAS校図書館、リヴァプール大学図書館において近代建築史に関する英米の研究書を閲覧し、参考資料を収集した。 (2)英米の建築史学会のほか、近代建築史、技術史を専攻する海外研究者を積極的に訪問し、研究内容について意見交換をおこなった。 (3)幕末明治初期の日本で活躍した英人建築技術者の事績と作品、また19世紀東アジアの洋風建築の導入過程について、査読付論文2編、国際会議のアブストラクト1編、国内の学会発表梗概1編、そして埋蔵文化財の発掘調査報告書への寄稿論文1編を執筆した。査読付論文のうち一篇は平成30年5月に発行予定であり、また国際会議も平成30年4月に発表を行った。
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