今年度の研究実績は下記の通りまとめられる。 1)19世紀に発行された外国人人名録(ディレクトリー)を閲覧し、当時の中国や日本にいた西洋人建築家の氏名、所属先等をパソコンへ入力し、データベースを作成した。国や都市によってその数に大きな違いがある一方で、Architectを名乗る人物は比較的早くからいたこと、また建築家や技術者の移動が頻繁にあったことが伺えた。 2)個別的な建築家の研究として、幕末明治初期の日本で活躍したトーマス・ウォートルスの経歴や作品について整理した。昨年度は、明治時代の東京に建てた宮殿計画案について分析し、本年5月発行のJournal of Asian Architecture and Building Engineeringに掲載された。また、ニュージーランドでウォートルスが仕事をした炭鉱の開発技術について検討し、国内の論文集へ執筆・投稿した。 3)米国ミネソタ州で開催された米国建築史学会で、東アジアの西洋人建築家が関与した19世紀の洋風建築について研究発表し、国外の研究者の反応を得た。
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