研究課題/領域番号 |
17K06750
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
山崎 泰寛 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (50795010)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 建築展 / デザイン展 / 文化政策 / 展示構成 / 美術館 / キュレーター |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の研究を踏まえて、建築展とデザイン展をともに研究の対象とし、日本の建築家がニューヨーク近代美術館の展示物から受けた影響について考察を深めた。特に、現在世界最大規模の建築展であるベネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本人建築家の展示方法に注目し、ニューヨーク近代美術館で確立された模型と写真、ドローイングによる展示構成がいかに発展を遂げたのかを考察した。 一方で、年間を通じて第二次世界大戦後の日本国内における建築・デザインの動向に論及した建築史、デザイン史の先行研究の調査・分析を継続するとともに、高知県立美術館において、戦後に日米両国の展覧会において大きな功績を残した写真家・石元泰博氏の資料調査を始めた。本年度の調査において、これまで曖昧だった石元氏の来日時の日付が明らかになることがわかった。石元氏は写真家として建築家、デザイナーの両者に強い影響力を持ち、日本建築とモダニズムの空間構成の親和性を表象する作品を残した。その代表作は初来日時から撮影し続けられたもので、日程を明らかにする意義は大きい。後に日米の橋渡し役を果たした氏の動向を理解する上で貴重な発見である。 また、研究成果の一部は森美術館(東京都港区)における「建築の日本展」において、展示された作品の一部を解説し、論考とともに図録に掲載した。作品は調査結果により、また、論考はキュレーターの視点から執筆した。一般市民を対象にした建築展で学術的な研究成果の一部を生かせたことには意義があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の成果を踏まえてデザイン展の研究、また国内のアーカイブの連絡を継続し、デザイン・建築の両分野に大きな業績を残した石元泰博氏を研究する端緒を残せたため。美術館における収集品の傾向や、現代の展示構成への影響についても引き続き研究を深めたい。
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今後の研究の推進方策 |
国内のアーカイブにおける資料調査を引き続き行うとともに、ニューヨーク近代美術館における収蔵品の調査を行う。また、ニューヨーク近代美術館関係者へのヒアリングを実施し、作家や作品を選び、展示空間を構成する業務を行う建築展・デザイン展のキュレーターの役割についても検討を重ねるものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に予定していた資料整理のための人件費であり、次年度に使用するものである。
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