本研究はニューヨーク近代美術館(以下、MoMA)の建築展・デザイン展を対象に、展覧会の開催に伴う文化的力学において日本人建築家やデザイナーが受けた影響を検討するものである。1960年代以降の建築展の検討を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響で調査を実行できず、50年代の再読を行った。結果的に、MoMAから派遣され、モダニズムを担った日本人建築家やデザイナー、芸術家と親しく交わった石元泰博の足跡を読み直し、特に来日した日付を特定することができた。また、同じく1950年代に日本で初めての大型デザイン展の対象となったワルター・グロピウスの来日に注目し、当時の言説空間の一端を明らかにした。
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