研究実績の概要 |
当該年度の研究の成果の具体的な内容:令和2年度において調査対象とした政府建立海外戦没者慰霊碑にかかる建築図面の資料整理・調査に着手した。政府建立海外戦没者慰霊碑は全部で15基が建立されているが、そのうち資料整理・調査対象としたのは故菊竹清訓氏設計の13基(下記)である。整理は令和3年度においても継続して行っている。 調査対象とした13基の慰霊碑:比島戦没者の碑(1973), 中部太平洋戦没者の碑(1974), 南太平洋戦没者の碑(1980), ビルマ平和記念碑(1981), ニューギニア戦没者の碑(1981), ボルネオ戦没者の碑(1982), 東太平洋戦没者の碑(1984), 西太平洋戦没者の碑(1985), 北太平洋戦没者の碑(1987), 第二次世界大戦慰霊碑(1994), インド平和記念碑(1994), 日本人死亡者慰霊碑(1995), 樺太・千島戦没者慰霊碑(1996) 当該年度の研究の成果の意義と重要性:当時の天皇明仁・皇后美智子(現上皇・上皇后)によるパラオ訪問の際にペリリューの西太平洋戦没者の碑を訪れたことで、その存在が知られた。これまで注目されてこなかった政府建立の海外戦没者慰霊碑とともに設計された慰霊空間の空間構成、ならびにその建立の経緯を明らかにする点に意義がある。また本対象は戦後の日本建築を代表する一人の建築家によって20年にわたって設計されたシリーズとしても例をみないものである。戦後の慰霊空間の一類型としての重要性をもつものと考える。
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