研究課題/領域番号 |
17K06758
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
戸田 穣 昭和女子大学, 環境デザイン学部, 講師 (00588345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 戦後 / 慰霊 / 記念 / アーカイブ |
研究実績の概要 |
令和2年度よりに調査着手していた政府建立海外戦没者慰霊碑にかかる建築図面の資料整理・調査が完了した。政府建立海外戦没者慰霊碑は全部で15基が建立されているが、そのうち資料整理・調査対象としたのは文化庁国立近現代建築資料館所蔵の菊竹清訓氏設計の13基である。令和3年度は資料目録を完成し、資料の写真撮影を行なった。その概要は令和5年度に文化庁国立近現代建築資料館紀要に寄稿する。 文化庁国立近現代建築資料館資料は図面など図像資料を中心としており、必ずしも企画の全容を明らかにするものではない。これらを補完する上で文書資料の調査も欠かせない。令和3年度には、建築家遺族家の許可を得て、遺族家所蔵の資料についても調査を行なった。その内容は上記の海外戦没者慰霊碑の建設時ならびに改修時にかかる文書資料、また厚生労働省社会・援護局所管の国立博物館、昭和館(菊竹清訓設計)の設計・建設過程にかかる資料である。 当該年度の研究の成果の意義と重要性:これまで注目されてこなかった政府建立の海外戦没者慰霊碑とともに設計された慰霊空間の空間構成、ならびにその建立の経緯を明らかにする点に意義がある。また建築家資料のアーカイブズ化においてもモデルケースとなりうる重要性がある。従来、建築家資料はその展示価値を旨として、原図資料やスケッチが重んじられてきたが、建築史研究においては、より包括的な建築資料へのアプローチが必要である。本研究では、図像資料と文書資料の整理と利用に関するケーススタディとして位置づけることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も引き続き新型コロナウィルス対応により、遠隔地への移動を要する調査が実現できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
資料整理の完了した上記の政府建立海外戦没者慰霊碑の分析、成果の公表を進める。また昭和館関係資料の整理・調査も着実に進めていく。遠隔地への移動を要する沖縄、長崎調査については、今後の状況をみて実施を検討する。シンポジウムの開催については、これを中止する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は資料調査の対象が、文化庁国立近現代建築資料館所蔵資料ならびに建築家遺族家資料に限定された。具体的な研究実績へと結びつく研究活動を行うことができなかった。 2022年度は最終年度として、遅延している研究計画をできるだけ進めていくこととする。最終年度に予定していたシンポジウムの開催については、中止する。それに伴い残金が生じた場合には返還する予定である。
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