研究課題/領域番号 |
17K06759
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
中森 勉 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (30148150)
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研究分担者 |
戸田 穣 金沢工業大学, 建築学部, 准教授 (00588345)
山崎 幹泰 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (10329089)
蜂谷 俊雄 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (60410289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 富山県営住宅 / 市町村庁舎 / 公共建築 / 戦災復興住宅 / 建築設計事務所 |
研究実績の概要 |
平成30年度は1)「富山県における鉄筋コンクリート造による市町村庁舎」、2)「富山県内の県営住宅」、3)「富山市戦災復興住宅」のデータベース化と資料収集に取り組んだ。 ・「富山県における鉄筋コンクリート造による市町村庁舎」では総数39件の鉄筋コンクリート造庁舎が確認でき、このなかには3つ自治体で2度目の鉄筋コンクリート造庁舎がみられた。また現役で利用されている庁舎は29件であった。庁舎の設計に携わった建築設計事務所は、事務所名が判明している数は35件で、地元の設計事務所数は26件と圧倒的に多かったことがわかった。 ・富山県内の県営住宅」に関しては、県営住宅の建設は、昭和23年から始まり、昭和33年から昭和35年の間一旦止まるが、その後昭和36年から平成14年までの間、建設が続いている。 戦後初期と昭和39年から昭和47年までの間に急速に建設が行われた。住宅不足解消のための政策がとられたことにより、各地で新たな団地建設が続いたため、建設戸数も多くなった。その後、昭和48年から県営住宅の建設戸数は減少傾向になったことがわかった。 ・「富山市戦災復興住宅」ついては、米軍機による爆撃により、旧富山市内の約98%が焼失し、復興は富山市と富山県が合同で戦災復興事業が実施された。そして戦災直後は資材の欠乏等の悪条件の中、バラック家屋や応急簡易住宅が早急に建設された。応急的な住宅対策が一段落すると、居住性、防災性、の高い住宅が求められるようになった。昭和30年代前半までは木造の市営住宅が多く建設されたが、恒久的な住宅対策が求められ、建築基準法や公営住宅法が制定された頃から簡易耐火構造や耐火構造の市営住宅も建設されるようになり、やがて木造住宅は建設されなくなった。住居水準が向上していくと共に、1戸当たりの面積や部屋数が増加し、設備なども向上するにつれ家賃も高騰していったことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
富山県の各市町村及び富山県建築士会、建築設計事務所協会などへ研究趣旨を説明を行い、戦後建築に関わる情報と資料の提供を受けるなど、各機関の全面的な協力・支援を得られたため予想していた以上のデータ収集が可能になり、データの整理と資料の整理ができ研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は石川県における県市町村営住宅の建設状況を行い、前年度の富山県の状況と比較分析を行い相違点などを解明する。このために石川県内の自治体に、資料閲覧提および提供してもらうよう協力要請する予定である。 また、石川・富山両県の戦後話題となった建築の資料収集を図り分析を行うが、すでにこの2年間で収集した資料もあるので、関係機関に問い合わせしながら追加資料の収集を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費謝金の支出が過去に発生していないため使用額が0となっています。また物品費は資料購入代や複写費を見込んだ予算計上でしたが、協力をいただいた関係機関から無償提供の資料が多かったため使用額が少なくなった。 今年度は最終年度であるためこれまで収集した資料の整理とデータベース化の作業をアルバイトを使って支出する予定です。 その他の項目については、共同研究と相談のうえ当該研究の成果報告書を体裁の整った製本印刷することで合意を得ている。
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