研究実績の概要 |
本研究は、無機二元系化合物群を対象として、電子構造計算とクラスター展開法(CEM)、フォノン振動解析、もしくはDebye近似を組み合わせた手法により、従来の群論に基づく結晶構造分類に一般化された原子配置タイプ(AET: Atomic Environment Type)の電子論解析を行う、二元系におけるAETの全面的な情報を取得する。申請した際に、平H29年度は、二元系の基底状態の計算原子配置パターン(AET)マップの計算とAETの物理意義の解明を中心として行い、 H30年度以後、AETの圧力、温度依存性の計算に展開するとの計画があったが、実際に計算を始まると、研究を最も効率的に進めるため、H29年度には化合物に一番頻に出現する4-6種類のAETを絞って基底状態と温度、圧力変化のAETマップを同時に解析して、H30年度以後はCN24まで展開するようにスケジュールを変更した。H29年度の主な結果か以下になる。(1) 二元系化合物に一番頻に出現する4種類のAETとそれぞれのAETタイプを有する代表的な1-2種類の結晶構造を選定した:CN4(SZn);CN6(NaCl );CN12( L10, L12);CN14(CsCl, NaTi )。(2) 選定された6種類の構造において、元素周期表に元素番号34までの1A, 2A, 3B, 4B, 5B 6B 及び3A-2B遷移金属元素を対象にすべての組み合わせに対して、基底状態の電子構造計算、圧力をかける状態の電子構造計算、及びフォノン振動の計算を同時に行った。(3)計算結果である基底状態、平衡状態体積を5%,10%圧縮した状態、温度1000K, 2000K時のエネルギーの解析を行い、AETと従来の結晶構造タイプのエネルギーの規則性が観察された。これらのデータが次のステップとなるAETタイプの物理的意味を解明する基礎データとなった。
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